2022年12月12日

根入れ逆効果

木造軸組工法住宅の許容応力度設計@(2017年版)の P.155〜156 に変なことが書いてある。
Df効果って、根入れ効果のことである。周囲の地盤が押さえるので、その分だけ地耐力が増加する。
上記の本は、その分だけ荷重が増加すると言っている。根入れ分の地耐力が減じられている。
通常はこの程度の根入れ効果は考慮しない。
建物の接地圧は、建物総重量を基礎の接地面積で除したものなので、基礎の底面での接地圧である、その地耐力が確認できればよい。
何も根入れの荷重を qa からマイナスする必要なない。Df効果は加算することができるものである。
Df効果について理解された人が書いたと思えない参考書である。
そもそも、地表面で地耐力を求めることは現実的ではない。
posted by TASS設計室 at 17:35| 木造の構造計算

木造の小屋組みの荷重

木造は最上階の床が天井と屋根に分かれている。
床としては1つで良いので、床として入力するが、屋根の荷重は勾配を考慮して割り増す。
屋根面を分離して入力するプログラムもあるが、煩わしいので、そのような入力方法は行わない。
層重量なのだから、2つに分ける必要はない。
荷重の伝達方向が天井面と屋根面で異なることがあるが、屋根面で決めればよい。
posted by TASS設計室 at 09:00| 木造の構造計算

2022年12月11日

混構造と木造4階

混構造と木造4階建ての構造設計を行っている。
RC/SRC/Sの構造設計と耐震診断は14階建てまで対応する。
WRCは5階建て迄とする。
木造は4階建て、混構造は5階を限度とする。下部2層をRCとし、その上を木造4層とすることも可能だが、6階建ては全階をRC造かS造にするほうがよい。限界は1階RC/WRC、2〜5階木造である。
木造は軸組工法と2x4工法に対応する。混構造はRC造あるいはWRC造と組合わせれば、地上1階から混構造になる。
意匠は地下1階・地上3階でも、構造は地上4階になることもあり、構造は4階の基準が適用される。
意匠は地下階でも構造は地上階になることがあるので、計画の初期段階で、意匠設計者に理解していただくことである。構造計算ルートと適判の関係も理解し、手続き上のことを施主に説明できるようにする。
posted by TASS設計室 at 16:01| 木造の構造計算

2022年12月08日

ルート3の計算の基礎梁

ルート3の計算で基礎梁が貧弱だと、いくら壁の強度を上げても、基礎梁にヒンジが出来てしまい保有水平耐力が出ない。
木造の設計者は、このことを理解しよう。
特に木造の設計者は基礎を小さくしたがる傾向があるが、普段2〜3階建ての基礎を見慣れているからだろう。
スターラップにフックを付けると言うと反発されるが、設計図書にRC配筋標準図を付けている。鉄筋コンクリート造の計算外の規定を良く理解することである。
posted by TASS設計室 at 19:45| 木造の構造計算

2022年12月05日

木造3階建てまでの設計者

木造3階建てまでの設計者が圧倒的多数である。
そのような人が、木造4階建てや混構造、鉄骨造に手を出すとうろたえる。
そんな時は、設計の初期段階から構造設計事務所に相談することである。
posted by TASS設計室 at 10:26| 木造の構造計算

2022年11月21日

基礎の計算

FAP-3で基礎の計算を行ったものを見たが、引抜力に対する計算で、柱の位置を支点にしているので、浮き上がっても基礎梁に応力が発生しない。
杭基礎で杭の周面摩擦力で抵抗する場合は、それでもよいが、直接基礎の浮上りに対しては適切な計算ではない。浮上りを拘束しないという条件を加えて計算すると、浮上ったら基礎梁が抵抗する計算ができる。
上部構造を計算する場合は、浮上りを拘束して計算する。そうしないと建物に地震力が入らない。
しかし、浮上ったことで倒壊を免れる建物もある。
基礎の浮上りについての研究がある。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/aijs/74/644/74_644_1803/_article/-char/ja/
https://www.sein21.jp/TechnicalContents/Ishiyama/Ishiyama0104.aspx
posted by TASS設計室 at 14:38| 木造の構造計算

木造専業の構造設計はKIZUKURIのユーザーが多い

木造専業の構造設計はKIZUKURIのユーザーが多い。それで4階建てにチャレンジしている。
3階建て以下なら、使いやすいプログラムである。
2x4工法に関しては、kizukuri-2x4では開口部の設定が面倒なので、苦労すると思う。
RC,WRCの構造計算プログラムでは、最初に無開口の壁を入力し、そこに開口のデータを加えるので、開口寸法の変更に容易に追従可能である。
KIZUKURIは軸組工法、2x4工法共に、相変わらず基礎の計算が分離されているので、データの転送を行わなくてはならない。
2x4工法の4階が避けられている理由の1つは、保有水平耐力計算を行うことにある。軸組工法はルート2の計算なので、偏心率と剛性率のチェックだけで済む。
基礎の計算では、せん断力の割増係数を1.5で計算している人が多いが、ルート2の場合は2.0にすることを忘れないように。技術基準解説書(2020) P.389

posted by TASS設計室 at 09:50| 木造の構造計算

2022年11月20日

なぜKIZUKURIで4階建ての計算を行うのか

KIZUKURIでも4階建ての許容応力度計算を行うことは出来るが、手計算で補足することが多いのではないか。ルート2でよいので、ルート1と大して変わらない計算だが、下記の計算で@とAはできないと思う。
全てを面材の耐力壁にしてβ割増を避けることは常套手段である。ルート2なので、RC梁の設計用剪断力の割増係数はn=2.0になる。
基礎梁の計算を分離すると面倒ではないかな。引抜力が大きいので、基礎の浮上りも出てくることがある。
@偏心率(4F)
A剛性率
B水平力のβ割増
C設計用剪断力の割り増し係数n=2.0
D基礎梁の計算
E壁倍率によらない耐力壁の計算
posted by TASS設計室 at 22:40| 木造の構造計算

2022年11月12日

壁倍率による計算は卒業しよう

木造(軸組工法、2x4工法)の構造計算で、壁倍率による計算は卒業しよう。
面材の剛性と耐力で計算することに慣れると、設計の応用範囲が広がる。
壁倍率による計算は、2階建て以下の壁量計算に使う程度に限る。しかし、木造専業の設計者は、2階建ての設計が圧倒的に多いので、それで十分である。
その延長線上で3階建て、4階建てを設計すると、ダブルの耐力壁を使うことになる。
ダブルにしなくても納まるものでも、ダブルにしているのである。
2x4工法ではミッドプライウォールを採用するが、軸組工法でも採用したらよいだろう。木造の設計者は、軸組工法と2x4工法の両方を学ぶことだ。
耐力壁の考え方は壁式鉄筋コンクリート造と類似点がある。
posted by TASS設計室 at 09:26| 木造の構造計算

2022年11月09日

基礎がしょぼすぎる

木造の構造計算書を拝見すると、全般的に基礎がしょぼすぎる。
そうかと思えば、D19の鉄筋を何本も入れているものもある。
梁成が300に満たないのにスターラップの間隔が200だったり、RC規準を理解していない。
いくら耐力壁を強くしても、基礎梁が貧弱では基礎梁にヒンジが出来て、耐力が頭打ちになる。
高さ30mの建物の基礎梁は梁成2.7m〜3mくらいで計算するのだから、高さ12mの木造は65cmということはないでしょう。
posted by TASS設計室 at 09:23| 木造の構造計算

2022年11月08日

木造4階について書くと、アクセスが増加する

木造4階について書くと、極端にアクセスが増加する。それだけ興味を持つ人がいることが分る。
木造には軸組工法と2x4工法があるが、両方を設計する人は少ない。多くは片方だけである。
混構造になるとアウトで、RC/WRC/Sだけ依頼されるが、始末に困って上部構造も追加で依頼される。
得意不得意はあるが、木造に限らず全ての構造形式の設計と耐震診断・補強設計を手掛けると相乗効果が出てくる。
木造軸組工法は、木造全体の90%、2x4工法は10%程度であるから、4階建ても軸組工法のほうが多いかと思えば、まわりを見渡すと2x4工法といい勝負である。
計画に合わせて、両方やればよいと思うが、なぜ偏るのだろう。
審査機関に様子を伺うと、木造4階の審査の経験のないところもあれば、たまにしか来ないと言うところもある。ルート2の審査ができないので、適判にまわしてもらいたいという審査機関もある。
軸組工法はプレカット業者が構造設計を行うところがあり、建設会社や意匠設計事務所はプレカット業者に依頼する。
使われている構造計算プログラムは、相変わらず竿竹の移動販売ではないが、20年前と変わらない。買ったことがないから分からないが、20年前のお値段ですと言うやつである。ユーザーのレベルに合わせて開発されたプログラムである。分かりやすくて使いやすいことは認める。
木造専業の構造設計者も、構造設計一級建築士を取っているが、こんな状態では、木造4階建ては増えそうもない。
S造は設計するが、あからさまにRC造は出来ないという構造設計一級建築士もいる。確かにRC造は難しいが、敬遠することはないだろう。
posted by TASS設計室 at 00:51| 木造の構造計算

2022年11月07日

木造4階の構造計算

木造4階の構造計算ができる事務所は少ないらしい。
木造4階は、2x4工法よりも軸組工法のほうが多いことが分かった。確かに2x4工法は木造全体の10%程度である。その延長線上で4階建ても、2x4工法が少ないのだろう。
構造コストと設計の自由度を考えると、2x4工法がよいと思う。
posted by TASS設計室 at 16:18| 木造の構造計算

持ち込みの構造計算書の判定

持ち込まれた構造計算書をチェックしている。
KIZUKURIで無理やり4階建ての計算を行っているが、4階建ての計算ができる構造計算プログラムを購入したほうが良いのではないかと思う。
@壁倍率
A4階の偏心率
B剛性率
の計算で事前の準備や補足が必要になる。
7倍を上限として壁倍率で計算してもよいが、無駄ではないだろうか。
釘ピッチを@75あるいは@50にして、剛性で計算すれば壁耐力の上限が上がる。
重心と剛心が求められているので、偏心率を求めることができるが、計算書にか4階の偏心率が出てこない。
各階の層間変形は間接的に求められるので、剛性率の計算ができるが計算書に示されない。
基礎梁の計算も一貫していないので、分離して計算している。これは面倒なだけである。

KIZUKURI や kizukuri-2x4 は、使いやすいプログラムではあるが、3階建てまでにしておいたほうがよいのではないかな。手計算で補足することを考えたら、東京デンコーの「木三郎」「2x4壁式」を購入することを考えてはいかがか。
「木三郎」「2x4壁式」でも万能ではないが、現時点で使えるプログラムは、これしかない。エクセルで補足するにしても、スタート時点のポテンシャルが高いほうが作業性が良い。


posted by TASS設計室 at 15:19| 木造の構造計算

2022年11月06日

4階建てもKIZUKURIで計算している

プレカット屋が作成した4階建ての構造計算書が送られてきた。
KIZUKURIで計算していた。まだ、そんな会社があることが分かった。
4階建てになると、軸組工法に誘導する設計者がいることは聞いていたが、様子が分かった。
こんな状態では2x4工法の4階建てで、保有水平耐力計算は無理だろう。
僕が「木三郎」で壁の剛性に基づいた計算書を作成して送っていたが、見ていなかったらしい。
「木三郎」で計算した理由は、偏心率が0.15を超えた場合、ルート3になるので、どちらにも対応できるものとしていたが、壁の剛性をやりくりして偏心率を0.15以下にしてルート2でまとめていた。
基礎梁は分離してFAP-3で計算するというご丁寧なものだが、上部構造の応力計算で基礎梁も考慮すれば済むことではないか。そのほうがデータの再入力と言う煩雑な作業がなくなり、変更や修正の際にいちいち数値を入れ直さなくて済む。
鉄骨階段は頭が当たるので、最初に指摘していたが未対応だった。図面を描いていて分からないのかな。
基礎梁の主筋にD19を使っているが、端部はD16で、中央をD19として重ね接手で済ませることもある。梁幅300にも満たない梁でD19を使うのは納まりに工夫が要る。
木造4階建ての状況が良く分かった。
KIZUKURIが進化するか、構造設計者が進化するか、どちらだろう。構造計算プログラムは道具だから、ユーザーが進化しなくてはならないね。

posted by TASS設計室 at 20:59| 木造の構造計算

2022年11月05日

保有水平耐力計算は意味があるのか

木造軸組工法や2x4工法の構造設計で、保有水平耐力計算は意味があるのだろうか。
壁の耐力さえあれば保有水平耐力は満足する。RC造やS造を意識して、見栄を張って保有水平耐力計算をやることもない。やるなら、ちゃんとやれと言いたい。
保有水平耐力を出すには、基礎梁の耐力が効いてくる。基礎梁の付着割裂破壊やせん断破壊にも気を遣うとよいと思う。鉄骨造の基礎では付着割裂破壊が起きて梁幅を広げたり、せん断補強筋を増やしたりすることがあるが、木造の基礎では、そこまで検討しない。
技術基準解説書に、見当を除外できることが書いてあった。(以下は引用)

終局における付着割裂の検討は,本来全ての場合に行う必要がありますが,ルート1,2−1,2−2では検討を省略することができます。 (付着応力度が大きな部材では検討することが望ましいといえます。)引張り鉄筋が多い部材や、強度の高いコンクリートと鉄筋を用いている部材、鉄筋をカットオフしている部材では、特に検討が重要となります。
検討方法の例としては,p.630のd)に示される方法,鉄筋コンクリート構造計算規準・解説(1999)の16条(付着および継手),17条(定着)に示される方法(ただし,σtはσy(鉄筋の降伏強度)と置き換えるものとする)などが考えられます。
なお、付着割裂の検討とは別に、一次設計としての付着の許容応力度の検討は、令第82条第一号から第三号の計算の一環として、ルート1〜3のすべての場合に必要となります。この場合には、鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説(1991)の方法によることができます。
posted by TASS設計室 at 23:47| 木造の構造計算

2022年11月01日

木造住宅のダンパー

木造住宅に制振ダンパーを用いることを考えている人がいるが、剛性の低い建物にダンパーを入れて効果があるか疑問である。過去の例では、メーカーの計算によると 2〜3%の効果というものがあった。単なる気休めとしか思えない。地震に対して安心したいなら、基礎免振が効果的だ。

塑性率に注目すると、2x4工法よりも木造軸組工法の面材耐力壁が有利になるようだ。同じ答えにならないところが興味深い。塑性率が6の耐力壁なら、構造特性係数は0.3になるので、一次設計だけでもよいのではないかと思う。それよりも、基礎梁のヒンジに注目するほうが大切ではないだろうか。
木造軸組工法4階建てはルート2の計算が可能だが、2x4工法4階建てもルート2を取り入れても良いのではないかと思う。


posted by TASS設計室 at 23:54| 木造の構造計算

意匠図を受け取ったら

木造専業の事務所から構造設計を依頼されて意匠図を受け取ったら、先ず階段をチェックする。
頭が当たることがないか、簡単に断面図を作成して説明する。実に情けない設計者がいる。
その程度のことは構造屋に言われなくても検討するものではないか。そもそも断面図を描かない(描けない)人がいる。断面図をたくさん描いて、立体感覚を養う必要がある。何事もやってみることから始まる。
数学の立体幾何の問題を解いてみるのもよい。YouTubeで配信されている鈴木貫太郎の講義、その他数学オリンピックの問題も面白い。建築では図法幾何として実務的に解決することができる。
忘れてはならないのは、何と言っても構造力学である。
posted by TASS設計室 at 10:38| 木造の構造計算

2022年10月28日

木造軸組工法の構造計算プログラム比較

木造軸組工法の構造計算プログラムで僕が使ったことがあるものは@〜Bである。
@KIZUKURI
AHOUSE-ST1
B木三郎
木三郎は機能が豊富で、特に気に入っているところは。添え柱の計算が出来ることである。柱の耐力が不足したところだけ半柱を添えるなど、部材を付加することができる。
壁の剛性による計算もでき、釘ピッチを変えることで剛性の調整も可能である。@〜Bのプログラムで、保有水平耐力計算ができるのは木三郎だけである。4階建ての計算に最も適している。
C変わった使い方としては、BUS-6で形状データをつくり、FAP-3で読み込んで応力計算を行い、MED-3で断面算定を行う。【データ作成】【応力解析】【断面算定】を分離して計算する。一方通行だが、データの転送ができる。
posted by TASS設計室 at 00:38| 木造の構造計算

2022年10月25日

木造建築のエレベーターの鉄骨フレーム

木造建築にエレベーターの鉄骨フレームは必要か。
長期と短期の荷重に対して建物の強度が確認できれば、鉄骨フレームは必要ないのではないか。
使用することが限定され、ある会社に依頼しないと使えないが、鉄骨フレーム無しでも成り立つ製品がある。
エレベーターシャフトに鉄骨フレームを入れると混構造になると言われ、フレームを単体でルート1で計算することもあるようだが、そんなことは卒業しようではないか。
posted by TASS設計室 at 17:07| 木造の構造計算

2022年10月20日

杭基礎(地盤改良ではない)

木造や混構造の建物は、条件によっては地盤改良よりも杭基礎のほうが経済的である。
木造以外の建物では杭基礎を採用することが多いが、木造で杭基礎を採用することはまれである。木造や混構造は必要とする軸力が小さいので、スクリューパイルが適している。残土はほとんど出ないし、工期も短い。ボーリングデータを見て判断する。
杭頭モーメントの曲げ戻しは基礎梁が負担するが、杭頭をピンにすることもある。
片土圧を受ける場合は鋼管杭は適さない。
posted by TASS設計室 at 11:02| 木造の構造計算