2023年01月11日

木造軸組工法と枠組壁工法

木造軸組工法と枠組壁工法の面材耐力壁の計算方法を比較している。
軸組工法はCN釘と比べて軸部の径が細いN釘を使用するので、塑性率が大きくなる。耐力は落ちるが塑性率が大きくなり構造特性係数が小さくなる利点がある。
軸組工法でルート2で計算する場合は塑性率や構造特性係数は関係ないので、軸部の径が太いCN釘を使って耐力を上げたらどうだろう。ヘリあき寸法は、2x4工法より大きいので、問題なくCN釘を使うことができる。
強度に依存する設計なら、軸組工法のN釘をやめて、CN釘を使ったらよいと考えている。
posted by TASS設計室 at 08:41| 木造の構造計算

2023年01月10日

木造4階でも壁倍率計算

木造4階でも壁倍率計算で、7倍を上限として計算している人が圧倒的多数で、木造3階建てまでの構造計算は意匠設計者が行っているという話しを聞いた。
その世界の人とは縁が無いので、様子が分かった。

木造専業の構造設計事務所もある。どういうわけか、彼らは2x4工法と軸組工法の両方を設計する人は少ない。木造以外では、鉄骨造のみ引き受ける構造設計者もいる。RC造は難しいところもあるが、やらないというのは、構造設計者として如何なものか。
保有水平耐力計算を嫌い、何が何でもルート1あるいはルート2にしてしまう構造設計者もいる。
最近は、そのまま施工図として使える構造図を作成している。鉄骨製作図がファブから送られてくるが、構造図のCADデータを、そのまま引き延ばしたものも多々ある。RC造は躯体図的な構造図にしている。
その理由は、小規模な建設会社は施工図が描けない会社があるからである。
今後は、設計図がそのまま製作図や施工図として使える図面を作成するようになる。構造設計者が設計段階で設備のスリーブまで調整するようになる。
木造はプレカット図を先に作成していることは正解である。
posted by TASS設計室 at 19:05| 木造の構造計算

2023年01月09日

仕様規定と認定工法

住宅設計は仕様規定と認定材料、認定工法など、何でも「認定」が好まれる。
社内で狭い範囲の技術者を育て、外に行けないようにするという考えだろうか。
個別に設計するのではなく、認定であることで満足してしまう習性をうまく利用している。
認定工法は他社と差別化することに利用することもあるようだが、いつまでも「特許出願中」と書かれているものもある。
結局、木造2階建ての壁量計算のレベルを超えることができないのである。その延長線上で3階建て、4階建ても設計されている。型式認定の工業化住宅である。
その世界で何年設計しても、設計者個人のスキルは上がらない。ファミレスの厨房に何年勤めても、独立して飲食店を開くことができないことと同様である。そのような人が、フランチャイズに加盟する。
posted by TASS設計室 at 12:17| 木造の構造計算

2023年01月08日

建物の隅に耐力の高いスジカイを配置しない

建物の隅に耐力の高いスジカイを配置しないと、大きな金物を使わなくて済む。
片スジカイは向きがあるので、端部に大きな引抜力が出ないよう向きを考慮する。
加力方向を理解することから始める。定性的に理解し、どちらの向きが強いか感覚をつかんでもらう。
壁量と金物の計算くらいは、意匠設計者が行おう。プレカット業者に指示することができるようになる。
鉄骨造のブレース構造も同様である。

posted by TASS設計室 at 21:06| 木造の構造計算

2023年01月07日

壁倍率でしか計算できない

壁倍率でしか計算できない木造専業の構造設計者は99%だろう。
しかも kizukuri、kizukuri-2x4 のレベルを脱していない。
東京デンコーの「木三郎」「2x4壁式」という構造計算プログラムがあるのだから、使ったらよい。
それでも倍率に固執している人がいる。頭の切り替えが出来ないようである。

posted by TASS設計室 at 09:12| 木造の構造計算

2023年01月04日

平面異形の建物

意外と平面的に異形の建物の計画が少ない。
向かい合う辺が平行ではない建物は、半端な敷地の場合には良くあることである。
何でも矩形にするのではないが、四隅の1つは直角にすると計画しやすい。単線でプランを作ったら、構造設計者に相談されたい。
構造計算ルートを睨みながら試算するが、始末に困ったら、最後の手段は鉄骨造である。

posted by TASS設計室 at 22:31| 木造の構造計算

2023年01月03日

陸屋根の排水

陸屋根のドレンの位置を居室の上にもってきている図面が届いた。
構造設計とは関係ないが、バルコニーがあるのだから、バルコニーの上にもってくるほうがよい。
漏れてもバルコニーである。このくらいのことを考えられないのかな。
なるべく竪樋は外に出すものとし、排水を室内に呼び込むようなことは極力避けることである。
posted by TASS設計室 at 18:33| 木造の構造計算

2023年01月01日

1981年から2000年の木造住宅の耐震性

1981年から2000年の木造住宅の耐震性に疑義があると言われている。壁量は満たしているが柱脚あるいは壁の脚部の金物が規定のものが付いていないとのことである。
その年代の建物に対して補助金を付けて耐震性を強化するらしい。
壁の脚部が浮上ると、それ以上の地震力が建物に入らないので、建物の倒壊を免れることがある。
神戸のEディフェンスでの実大実験が、金物がしょぼい建物のほうが残った例がある。
基礎と杭の緊結は不要であるという論文もある。このように考えると、金物を付ければよいというものでもない。
電気のフューズのようなもので、フューズが飛ばないように針金を入れると、過電流で機器が壊れることと似ている。
https://www.sein21.jp/TechnicalContents/Ishiyama/Ishiyama0104.aspx
posted by TASS設計室 at 15:36| 木造の構造計算

2022年12月26日

仕様規定の7倍を上限?

仕様規定の7倍を上限とするという適合性判定機関から指摘を受けたので、説明を加えた。
グレー本の書き方も不親切で、読解力のない人にも分かるように書くべきである。
両面の耐力を合計して7倍が頭打ちなんてナンセンスである。

【準拠する構造計算に関する書籍の解釈】追記
木造軸組工法住宅の許容応力度設計(2017年版)
壁量計算を採用しないので、法46条は適用しない。(P.40)
耐力壁の仕様および計算方法は P.198〜200による。
3.3 面材張り大壁の詳細設計法
(1) 適用範囲 @〜Cに面材の壁の耐力に関する記述があり、@許容せん断外力の上限は13.72kN/mと記載されている。
P.200の【解説】で、
『まず、@については、本省は第2章の「枝」としての位置づけであることから、2.1.2 構法の仕様に基づき許容せん断耐力の上限を13.72kN/m(=7倍x1.96)とした』と記載されている。
これは構法の仕様に基づく設計を行った場合の上限であり、A以降の詳細計算法を行う際は、工法の仕様による壁倍率ではないので@は適用しない。

P.198のAに記載されている κ、儕、δ、δuを取得したものとするというのは、P.206に記載されている数値を採用することができる。

P.198のBについては、JAS1級の構造用合板を12mmとすることで条件を満たされるものとする。

【使用プログラムの概要】
使用したプログラムは、東京デンコーの軸組工法の構造計算プログラム「木三郎」を用いる。
posted by TASS設計室 at 07:23| 木造の構造計算

2022年12月23日

木造の設計者を甘やかすな

木造の設計者を甘やかすから、彼らは進歩しない。
3階建て以下の小規模な木造建築は、意匠も構造もなく、1人の設計者が設計できるようになっている。
分業化すると効率的かもしれないが、総合力が失われる。全てを掌握する司令塔的な人は忙しい。
posted by TASS設計室 at 10:08| 木造の構造計算

2022年12月22日

設計者の判断により・・・・・・

木造の設計者は判断しないらしい。倍率の計算から抜け出していないのだから、そんなものだろう。
いちいち設計者の判断により、なんて書くのは、木造の業界の本に多く見られる。
グレー本の P.210 にも、そんなことが書かれている。
だから設計者として判断して設計するのである。
国の補助金で研究し、建築研究所が監修したにもかかわらず、足を引っ張るようなことは書かなければよい。
自信がないなら書かなければよい。

面材の壁を両面貼ることがあるが、両面の剛性を加算して良いかという質問を受けたので、足し合わせればよいと答えた。そうしたら、どこに書いてあるのか、誰が良いと言ったのかと質問されたので、『ニュートンが言っている』と答えた。並列バネですよ。

posted by TASS設計室 at 09:17| 木造の構造計算

聞き損いは、言い手の粗相

設計方針に準拠する指針と、その解釈を書かなくてはならない。
当たり前に読めることでも、人によって解釈が異なる。

『聞き手の粗相は言い手の粗相』『聞き損いは、言い手の粗相』という言葉がある。
聞き手が正しく理解しないのは、言い手の方に問題があるということである。
『聞く』を『読む』に置き換えても同じことである。
posted by TASS設計室 at 01:29| 木造の構造計算

2022年12月21日

何のための耐力壁の詳細計算か

壁倍率7倍を上限とするなら、何のための耐力壁の詳細計算か。
木造2階建ての設計には縁がなく、3階建てでも倍率で計算している人には関係ない。
その段階が圧倒的多数である。
軸組工法と2x4工法の両方を設計する構造設計者が少ないので、両者の相乗効果が得られない原因である。
和食でも洋食でも、料理の基本は同じではないか。何だか魚と肉ほどの違いがあるようだ。しっぽが付いていたら分かるが、切身を天ぷらにしたりフライにしたら見た目は分からない。昼だから、こんなことを考えてしまった。

posted by TASS設計室 at 12:16| 木造の構造計算

グレー本は中身もグレー

グレー本は中身もグレーである。
外圧を取り入れ、告示1540号で処理している 2x4工法 は規準が柔軟である。
グレー本の記述には逃げが多い。農学部の学者は何をやっているのか。
木材の物性についてチマチマ議論していないで、工学的判断を行ったらどうだろう。
posted by TASS設計室 at 10:31| 木造の構造計算

意外に少ない木造4階

木造4階は大して増えていない。
審査機関でも、取り扱いの経験のないところがある。次のことに問題がある。
@構造計算指針等に不完全なところがある。(軸組工法、2x4工法共)
指針等の筆者が明快な表現をせず、逃げているところがある。
木造は農学部で、RC造やS造は工学部だからか。
A設計件数が少ないから、審査機関が慣れていない。
木造専業の設計者が木造の設計を行うのではなく、普通の構造設計者が木造に参入することが必要である。
BWRC造は4階建てでもルート1で計算できるが、木造の場合はルート2あるいはルート3になる。
WRC造の設計者は普通にRC造の設計を行っている設計者であり、木造の設計者よりも構造を知っているからルート1を許容するが、木造専業の設計者にルート1を許容すると、節操なく4階建てが増えてしまい、トラブルが起きることが予測されるので、歯止めを行っているのか。
CRC造のルート1は、高さ20mまで許容され、一級建築士が構造設計を行うことができるが、木造は4階建てになると、構造設計一級建築士の資格を必要とされる。
posted by TASS設計室 at 02:03| 木造の構造計算

2022年12月20日

設計者を堕落させる木造の倍率計算

設計者を堕落させる木造の倍率計算
壁倍率、床倍率、金物の倍率等々、耐力ではなく倍率で設計することから離れ、耐力と剛性で計算することに慣れるとよい。
4分割法というのも良くないが、整形な建物なら良い結果が出る。
そう言うとAi分布はどうなのかと言われてしまう。Ai分布は略材である。固有値解析や時刻歴応答解析をやれと言われてしまう。耐震診断で使う階の補正係数も簡単で良い。
地震波をサイン波にして計算したことがある。こんな方法でもよいと考えていたことがある。5階建てで固有値解析を行ったことがあるが、Ai分布と大して違わなかった。
結局、難しい計算を行わず、略算が使われている。
posted by TASS設計室 at 17:12| 木造の構造計算

地盤調査会社の考察は大きなお世話

地盤調査会社の考察は大きなお世話である場合がある。
直ぐに地盤改良を勧めることは如何なものか。地耐力計算や液状化の検討を行い、その考察を打ち消す。
必要もないのに地盤改良を行う利点は、頼りない現場監督しかいない現場にとっては助けになる。
posted by TASS設計室 at 13:42| 木造の構造計算

MP108という金物とアンカーボルト

カネシンのMP108という金物とアンカーボルトは優れている。
アンカーボルトは定着板というか先端にナットを付けたもので、埋込深さが浅い割りに108kNという高い短期引抜強度が得られる。
コーン破壊を計算しても成り立つ。このアンカーボルトの使用頻度が高くなりそうだ。
https://www.kaneshin.co.jp/attach_file/item_oth/1000934-451717-1.pdf
https://jp.meviy.misumi-ec.com/info/ja/archives/27083/#:~:text=S45C%E3%81%AF%E6%A9%9F%E6%A2%B0%E6%A7%8B%E9%80%A0%E7%94%A8,%E3%81%84%E3%82%8B%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
posted by TASS設計室 at 12:34| 木造の構造計算

2022年12月16日

営業から施工まで

営業段階の企画設計は、ある意味コンペである。他社と競合するものだが、客が気に入ったところがインテリアや設備である場合があると聞いて驚いた。部品が注目される。
ハウスメーカーのモデルハウスや、マンションのモデルルームを見るような感覚で考えているのだろう。
設計の初期段階で、浴室やキッチンを見せることは効果的だが、そんなものは設備メーカーのショールームに行けば見ることができるものである。住宅の設計はメーカーのカタログの寄せ集めで出来ている。

施工に関しては、躯体工事が効率よくできると、施工会社の競争力がつく。その中心人物は現場監督である。そこでは施工図が重要で、RC躯体図、鉄骨詳細図が描ける設計者が必要になる。仕上げを考えながら意匠設計者が施工図や製作図をチェックすればよいのだが、なかなか難しいようだ。
小規模な建物ではゼネコンの仕事を行っている施工図作成者に頼みにくいので、構造設計者が施工図尾を作成することになる。今は、コンクリート施工図を描くことができる現場監督はいない。
コンクリートが打ちあがり、あるいは鉄骨建て方が完了するまでが、構造設計者の仕事である。
posted by TASS設計室 at 18:43| 木造の構造計算

2022年12月15日

鉄筋コンクリート造の施工管理ができる住宅施工会社

鉄筋コンクリート造の施工管理ができる住宅施工会社が少なく、躯体工事を丸投げ同然にするので、混構造は割高になる。型枠と鉄筋が分かれば、施工管理ができるが、やろうとしない現場監督がいる。
基礎に土台と引抜金物用のアンカーボルトを打ち込むまでが躯体業者の仕事になる。そこまで出来ていれば、後はいつも通りに作業ができる。
そのような会社は、たまには鉄骨造を施工することがあるだろう。
混構造や鉄骨造を変形した敷地や斜面地に建てる場合、大手ハウスメーカーと競合することがないので、中小の会社は技量次第で受注を拡大することができる。
こんな計画に適した構造は、WRCと2x4工法の混構造、鉄骨のラーメン構造である。建物は矩形でなくても設計できる。意匠設計者が変形した建物の図面を作成することに慣れるだけである。
posted by TASS設計室 at 00:19| 木造の構造計算