2023年02月22日

構造設計はほとんど独学

構造設計は基礎的なことを習得したら、その後は独学である。
構造力学、RC造、S造の基礎的なものは学校で学ぶが、その段階で専門書が読める段階に達している。その後は実務をやりながら独学である。
たまに講習会に出席し、そこで勘所を養う。建築防災協会の耐震診断の資格講習は全構造形式を受けることを勧める。土と基礎に関する土木の講習会も有意義である。
木造4階が増えないのは独学できる人が少ないからである。独学できるレベルに達していない人は、本を読むことに苦労している。難しいことに出合ったら、その隙間を埋める勉強をする。
posted by TASS設計室 at 10:46| 木造の構造計算

階段詳細図

木造の設計者は、階段詳細図を作成する習慣がないのかな。
楽に納まる階段ならそれでもよいが、頭上の寸法がきわどい場合は、断面図を作成して確認する必要がある。
木造の内部に鉄骨階段を入れる場合も同様で、意匠図として仕上寸法の押さえを描くものである。
段を1段ずらすとか、手摺の笠木の連続性を考えるとか、階段が付いていればよいという考えでは納まらない。
木造以外の設計が多い普通の意匠設計者は、しっかりと検討してくるが、木造専業の意匠設計者には作図の技量の低い人がいる。様々な建物の図面と現場を見ていないからだろう。木造住宅は間取り図とプレカットで家が建つ。風呂・洗面・キッチンはメーカーのカタログから選べば済む。建具まわりのディテールに無頓着な人も少なくない。意匠設計って何ですか。
こちらは構造図として階段の図面を作成するが、それに仕上を加えると意匠図になる。
posted by TASS設計室 at 08:20| 木造の構造計算

ホールダウン金物は大きすぎてはいけない?

昔、2x4工法の設計者の会議で、ホールダウン金物は大きすぎてはいけないと言った人がいた。何を考えて、そのようなことを言ったか追及しなかったが、計算値より小さくなければよいではないか。
そんな人が設計していると、チマチマとめんどくさいことを言い出すに違いない。
軸組工法の金物のことで聞かれ、先回りして必要耐力以上の金物なら、好きに決めてよい。柱の上下の金物は同じでなくてもよい。と言ったら、質問はそのことであった。
こうなると、全ての構造形式の建築構造は完全にプラモデル化する必要がある。配筋図ではなく、鉄筋の並べ方を図面に作成したことがある。擁壁の底盤の配筋で、段階を追って鉄筋を並べる要領を図面にした。現場監督は、職人から質問されて答えることができないと、設計監理を行っている意匠設計者に質問する。意匠設計者が答えられないことは、こちらに質問がまわってくる。

posted by TASS設計室 at 07:40| 木造の構造計算

2023年02月18日

斜面地の利用は混構造

斜面地の利用は混構造で決める。
意匠が地下1階・地上2階の場合、構造は3階建てになる。こんな計画は良くあることで、欲を出してもう1階増やすと、地下1階・地上3階で、構造は4階建てになる。
偏心率を0.15以下にするのは難しいので、最初から保有水平耐力計算を行う予定で計画する。
地下部分は地下車庫として完結して、上部の地盤に2階建てを建てれば4号建築で済む。上部が3階でも、ルート1なので、簡易な構造計算プログラムで計算できる。
地下1階からエレベーターを付けると上下一体となり、混構造になる。
このくらいの範囲は、どれに決まっても構造設計が出来るようにしておこう。


posted by TASS設計室 at 23:12| 木造の構造計算

地耐力が50kN/uを超えると驚かれる

木造住宅の必要地耐力は20〜30kN/uが多いので、混構造で50kN/uを超えると驚かれる。
外壁率が高く、荷重が偏在していると、50kN/uを超え70kN/uくらいになることもある。
平均接地圧、図心と重心の差を求め、二方向の偏心を考慮した接地圧を計算すると、平均接地圧の1.5倍くらいになる。地震時の転倒の計算を行うと、短期で100kN/uくらいは当たり前である。
このような計算は、エクセルのシートを作成しておくと使いまわしができる。
支持杭の設計に慣れていない人がいるが、木造でも4階あるいは5階になると、地盤によっては総合的に判断して、スクリューパイルのほうが経済的なこともある。残土が出ないので、工程的にも有利である。
posted by TASS設計室 at 22:25| 木造の構造計算

木造4階

審査機関からの情報では、木造軸組工法4階建ての構造計算に KIZUKURI が使われているという。塔屋を階として計算すれば、計算は可能である。だから壁倍率の上限を7倍として計算している。壁量が不足するからダブル壁にしている。
2x4工法の場合は4階建てになると、軸組工法に誘導する構造設計者がいると聞いている。保有水平耐力計算を行わなくてはならないからと思われる。
軸組工法は、3階でも4階でも、許容応力度計算を行うことに変わらないので、計算方法は同じで、ルート2になるだけである。
2x4工法は、3階建てまでの許容応力度計算と4階以上の計算は、保有水平耐力計算という余計な計算が加わるので、尻込みする人が増えるようだ。部材ランクも崩壊形も意識せず、反曲点高比1.0で計算しているだけなので、計算要領を理解すれば、許容応力度計算ができる人なら、計算が可能だろう。
それこそ、ツーバイフォー建築協会でサポートすればよいのではないか。その際に推奨する構造計算プログラムは必然的に、東京デンコーの『2x4壁式3』になるだろう。

軸組工法でも2x4工法でも、耐力壁の長さは1.5P 、1365mm を最小長さにすることを意匠設計者に理解していただく。少なくとも 1200mm は必要である。理想を言えば 1500mm を4階床まで通す。最上階は柱脚の金物がU35で間に合うので、壁の長さを短くすることができる。
金物の上下の連続性を考慮して決める。

壁式鉄筋コンクリート造でも、壁が短かったり、平気で上下階の壁の長さが異なる設計をする意匠設計者がいるが、無理な応力がかかる設計は避けるべきである。
上下階で開口位置が揃わず、結局、鉄骨造になった建物がある。タイルを貼って、見た目は鉄筋コンクリート造だが、竣工後何年経っても、雨漏りが解消しないということを聞いている。お絵描きだけの設計は卒業しよう。
posted by TASS設計室 at 11:06| 木造の構造計算

2023年02月16日

木造4階の施工に特化した会社

大手のコンポーネント会社のように、大規模木造や特殊な木造に特化した会社が増えると、木造4階が普及する。躯体工事ができれば、後は同じである。
この際、軸組工法と2x4工法の両方を扱うと計画に柔軟性が出る。
設計スタッフは両刀使いでなくてはならない。軸組工法と2x4工法を別物のように考えている人がいるが、知恵がないことを公表しているようなものだ。両者の違うところだけ学べばよい。
posted by TASS設計室 at 10:56| 木造の構造計算

2023年02月13日

プランチェックの他に高さチェック

木造の人たちは『プランチェック』と称して構造チェックを行っているが、『高さチェック』も必要である。
彼らには高さの概念が希薄で、構造階高を意識せず、ファジーな図面を作成している意匠設計者が多く存在する。プレカット図に倣い、高さ関係の数値を図面の四角の中に入れさせることを考える。いくつもの数字を見るのではなく、四角の中だけを見れば済む表現にする。図面に多くの情報を入れすぎると混乱させてしまう。

posted by TASS設計室 at 07:28| 木造の構造計算

2023年02月10日

ディテールは釘1本まで描く

詳細に検討する場合、ディテールは釘1本まで描く。
図面の描き方の基本だが、平面と断面を同じ紙面に描き、関連付ける。
S造なら溶接やボルト、RC造なら鉄筋を示す。このような図面は、必要なところだけ描くが、使いまわしができるので、最初は大変だが作成することを勧める。

posted by TASS設計室 at 09:39| 木造の構造計算

2023年02月08日

木造4階、5階は標準設計

木造4階、5階は標準設計を決めると計画しやすい。2階建てや3階建てを設計している意匠設計者に考え方を理解してもらわなくてはならない。
鉄骨造を立体解析するより自由度が少ないので、建物が小さすぎると難しい。
木造は安いと思われるようだが、5階建てになると鉄骨造と工事費は大きく変わらず、鉄骨造のほうが安心感がある。
そのあたりの規模の建物を受注する会社は、鉄骨造の施工に強くなることである。
posted by TASS設計室 at 09:28| 木造の構造計算

2023年02月04日

頭が当たりそうな階段

頭が当たりそうな階段は、詳細図を作成して検討する。階段を1〜2段ずらしても大梁に影響がなく、小梁の変更だけで済むよう、次の一手を考えた構造設計とする。
ササラ桁を受ける梁をやめ、上から吊ることもある。
鉄骨階段を階段専門メーカーに依頼することが一般化している。サブコンの設計にかかっていると言っても良い。サブコンは製作図をまとめるだけの存在ではない。コンクリート施工図も外注に依存している現場も少なくない。
サブコンに依頼する設計は、次のようなものがる。
@杭
A地盤改良
B鉄骨
CALC
D鋼製建具
E外装パネル
F鉄骨階段
G金属工事
posted by TASS設計室 at 09:53| 木造の構造計算

2023年02月03日

混構造の手引きでは設計できない

木造専業の設計者は、混構造になると手が出ない人が多い。久しぶりに混構造の手引きを取り寄せてみたが、それだけでは設計できないだろう。
kizukuri あるいは kizukuri-2x4 と混構造の手引きで何ができるというのだ。混構造というものがあるという程度は理解できる。
posted by TASS設計室 at 08:23| 木造の構造計算

2023年01月31日

木造躯体のプレファブ化

木造の構造部材はホールダウン金物やアンカーボルトなどの副資材を含みパッケージ化し、プラモデルの組立説明書のような施工図を添付する。鉄筋は組立鉄筋とし、現場では並べるだけにする。継手は添え筋とする。
意匠設計者はプレカット工場に構造設計を丸投げするが、プレカット工場は基礎の設計を行わない。大手鉄鋼メーカーの建築も同様に基礎の設計は行わない。

今後はプレカット会社が、地盤調査、基礎、地盤改良、杭の設計まで踏み込んだ設計を行うようになる。それらの需要は十分ある。
元請けとなる意匠設計者は、自分の責任で構造を決めたくない。構造設計の費用が低いので外注すると自分の取り分が少なくなり、割りが合わない。全部自分で設計すれば良いが、それは出来ない。
工事費に含めて構造検討を行うことが一般化する。構造設計付きパッケージ商品である。


posted by TASS設計室 at 17:17| 木造の構造計算

2023年01月24日

相手の経験に合わせた設計

施工に関しては、相手の経験に合わせた方法で施工可能なものとする。
設計は可能でも、相手が見たこともないことを施工させると不安に思うからである。いろいろと考え過ぎて、作業が止まってしまうことがある。
断面図を見ずに分からないという人がいるので、平面図に『断面図のこの部分を見る』と書いて印しを付けると見落とされない。


posted by TASS設計室 at 11:17| 木造の構造計算

2023年01月21日

木造のルート1とルート3の違い

木造(混構造を含む)のルート1とルート3の違い
次の概念を理解すると、木造(混構造を含む)の保有水平耐力計算が出来る。
※ はなじみ深い。
@保有水平耐力(漠然と言葉だけは知っている)
A構造特性係数(Ds)
B塑性率(μ)
CAi分布 ※
D検定比 ※
EQu/Qun ※
F終局せん断耐力
G終局曲げモーメント
H塑性ヒンジ
I崩壊メカニズム
J偏心率 ※
K剛性率 ※
L独立水平変位
M節点荷重
N水平構面 ※
O壁の剛性による計算
P雑壁
Qルート判別 ※
R杭頭モーメント
S付着割裂破壊
ここで、杭の曲げ戻しの計算を行う際は、右手座標系を理解する。
現在の汎用の木造の構造計算プログラムでは、支持杭と基礎梁の計算が連動したプログラムがないので、手計算で計算しなければならない。
昔は手計算が当たり前だったが、現在は BUS-6 と BUS基礎 のように連動したものが主流である。
上部構造の荷重を受け、汎用のプログラムを使い杭と基礎梁の計算を行う方法がある。
基礎梁が貧弱だと保有水平耐力が出ないので、基礎を4号建築のつもりで設計しないことである。
posted by TASS設計室 at 02:31| 木造の構造計算

2023年01月15日

木造軸組工法4階 VS 2x4工法4階

どちらにするか、シミュレーションして決める。
軸組工法なら柱は 120x120 で、不足分は添え柱とする。
2x4工法は主要な壁は 2-206 @455とし、端部のタテ枠は6本とする。出隅は必然的に7本になる。
端部のタテ枠は、マグサ受けを含む合計の本数でよい。全てのスタッドが軸力を負担するものとし、マグサの上部も6本とする。
1階が木造で納まらない時は、1階をWRC、2〜4階を2x4工法とする。
構造計算ルートは、軸組工法はルート2またはルート3、2x4工法はルート3とする。
軸組工法は壁の剛性を調整し、偏心率を0.15以内に収めることが可能なのでルート2とする。やむを得ない場合を除き、ルート3を避ける。
構造計算プログラムは「木三郎4」「2x4壁式3」とする。
posted by TASS設計室 at 16:53| 木造の構造計算

2023年01月14日

木造の構造計算プログラム

木造の構造計算プログラムは東京デンコーの「木三郎」と「2x4壁式」しか使えない。
多少の不満はあるが、それ以上のプログラムは他社から出てこない。
大規模木造の設計者は、汎用の高度な解析プログラムを使っているものを見かけたことがあるが、FEMで解こうが、立体解析を行おうが、一般の構造設計者の手が出る計算は「グレー本」「緑本」の範囲である。
それらを知り尽くして開発されたのが上記2つのプログラムである。ユーザーが少ないから、木造4階が進まないのだろう。

posted by TASS設計室 at 01:05| 木造の構造計算

2023年01月13日

軸組工法の耐力壁

とうとう24mmの合板、CN-75 @75 の耐力壁を設計してしまった。
こんなことをやると癖になる。108kNの金物でもコーン破壊は納まる。
12mmの合板で CN-65 @50 の場合、フレーム材の縁あき寸法20mmというのは安心感がある。
壁倍率7を上限とする設計は行わず、取れる耐力は取る方針でいく。
posted by TASS設計室 at 15:25| 木造の構造計算

2023年01月12日

基礎梁の鉄筋の位置(高さ方向)

木造住宅の場合、基礎梁の鉄筋の位置(高さ方向)は、成り行き任せなので、X方向が上になるか、Y方向が上になるか分からない。スラブ筋も同様である。
寸切りの主筋を並べて定着はL形の鉄筋を添わせることもあるので、同じ高さでも差し支えない。現場も意識しない、というか、そのようなことは考えていない。
基礎梁の計算では dt を大きめにしておくほうがよい。
スラブ筋も同様で、現場でどちらを先に並べるかで決まる。「犬が西向きゃ尾は東」だね。


posted by TASS設計室 at 21:08| 木造の構造計算

壁倍率計算と詳細計算のミックスはダメ

耐力壁の倍率計算と詳細計算のミックスはダメでしょう。2x4工法では、そのような計算は行わないが、軸組工法では採用している。
剛性に基づく計算と倍率計算では剛性が異なるので混ぜたらダメではないか。
そのような計算が可能な構造計算プログラムがあり、ミックスして入力できる。試算している時は便利だが、そんな時は、計算終了メッセージにその旨を出力してもらうとありがたい。
一部の壁を剛性で計算し、それを倍率に換算して計算するには都合がよい。剛性に大差がないから、それでもよいと言われれば、ダメとは言えない。
しかし、倍率という考え方が気に入らない。
posted by TASS設計室 at 13:15| 木造の構造計算