2014年03月01日

S造とWRC造

 木造住宅の設計者は、S造(鉄骨造)とWRC造(壁式鉄筋コンクリート造)に関する知識も身につけよう。
WRC造の構造計画は、2x4工法と同様に考えれば良いだろう。
S造は、柱があって梁があること、それらの寸法を意識し、断面図を作成しながら計画する。
床はQLデッキは日鉄Eデッキを使うことが一般的である。

 2x4工法でも耐火構造の建物を建てることができるが、しっかりした構造計画に基づいて設計されるべきであり、3階建て準耐火構造の建物の延長線上で設計できるものではない。

 小規模な鉄骨造の設計ができる人が増えると、狭小地や木造住宅密集地域の耐火建築物が建てやすくなる。鉄骨造の意匠設計を指導することもあるが、意匠設計や申請も私が行うこともある。
小さな建物は、分業化して打合せをしている間に、意匠設計が出来上がってしまう。
 構造設計は、エスキースの段階で完成させる。
今、設計している鉄骨造の住宅は、意匠設計が出来上がる前に構造図を完成させた。
意匠設計者はそれを見ながら内装や階段まわりをまとめている。

posted by TASS設計室 at 20:25| 木造住宅

2014年02月27日

力学的に無理な計画

 デザイン重視と言うのか、無謀な計画というのか、紙一重だが、力学的に無理な計画は不可能である。
2x4工法では無理、軸組工法なら可能、というものではない。鉄骨造なら可能である。

 木造で剛接合あるいは剛接合に近いディテールにすることは可能だが、木材の乾燥に伴う変形が心配になる。集成材やLVLを使い、金物で強引に締め付けることにする。

posted by TASS設計室 at 11:52| 木造住宅

2014年02月23日

国産材が使われないのは、品質が悪いから

国産材が使われないのは、品質が悪いからだ。
無理に国産の木材を使わないほうが良い。

http://www.kj-web.or.jp/gekkan/gaizai.htm

posted by TASS設計室 at 16:34| 木造住宅

スパン表が無かったら

 今月の木造の構造設計は4号建築だけが3棟残っている。
4号建築だが構造検討を行う必要のある建物であり、建物全体の計算を行っているものもあれば、部分的に検討を加えるものもある。

 このような仕事を通して、木造の意匠設計者が苦手としているところが理解できる。
基礎の設計でスパン表を適用することに不安があるようだ。
私は真面目にスパン表と向き合ったことがないので、詳しいことは分からないが、地反力や応力を意識せずに基礎梁の検討を行うことには無理があると思っている。

 荷重や地反力に関して学んでもらうことが必要だが、習得することの出来ない人も少なくない。
基本は構造力学なので、初歩的なところだけで良いから、構造力学を学んでもらうことが必要になる。
そこで、荷重は分かるが反力が分からないという人が出てくる。
床根太の計算はできるが、梁の計算ができない、という人もいる。
 相当な時間をかけ、個別指導を行わなくてはならないようだ。
しかし、そんなことまでして学ぶ人は、それだけで疲れてしまい、とても実務はできないだろう。
だから、スパン表や簡易計算の需要があるのだ。

posted by TASS設計室 at 10:16| 木造住宅

2014年02月22日

建築確認が下りた建物の構造検討

 木造2階建ての4号建築だが、建築確認が下りた建物の構造検討を行う予定がある。
私の作業範囲は、基礎(基礎梁・基礎スラブ)の設計と木造の梁、床根太の断面検討である。
エクセルで計算可能な範囲だ。

 ところが、私の作業範囲以外に疑問が出てしまった。
吹抜けが大きいので、2階床面での水平力の伝達に関する検討が必要である。
4号建築だから構造検討を行わなくても良い、という訳ではない。
 このような場合、審査機関は、どのような方法で指摘したら良いのだろう。
厳しく追及すると嫌われるが、見過ごすこともできない。
回答の方法として構造計算結果を示して説明することも考えられるが、壁量計算とN値計算の範囲で定性的に説明することも可能だろう。

posted by TASS設計室 at 14:33| 木造住宅

2014年02月20日

平成26年はツーバイフォー工法オープン化40周年

 平成26年はツーバイフォー工法オープン化40周年だそうだ。
オープン化を記念して、構造設計の関係では、どのような動きがあるだろうか。

 木造3階建ての解禁で、2x4工法・軸組工法共に発展してきたが、2x4工法は軸組工法の発展に貢献したと思う。
2x4工法があったから、今の軸組工法があるのではないだろうか。
次は、それらの『融合』に期待したい。

posted by TASS設計室 at 08:07| 木造住宅

2014年01月26日

プラン認定のバリエーション

 意匠設計者がプラン認定のバリエーションを考え始めた頃だが、調整に1か月はかかるだろう。
たくさん出てくると思うが、出てきたら整理する。

 偏心率に着目し、最も不利な条件で必要保有水平耐力を決定する。Ds=1.0 とし、短期許容応力度以内で設計する。 結局、1G(Co=1.0)で短期許容応力度に納めれば、誰の目にも安全に見える。
 私が隣りの町内会の防災倉庫を設計した時は、Co=1.0 として許容応力度計算を行った。
1G で許容応力度計算を行うなら、Ds=1.0 で保有水平耐力計算を行う必要はない。

posted by TASS設計室 at 11:24| 木造住宅

2014年01月25日

自分で決めることのできない設計者

 木造の構造について問い合わせがあるが、自分で判断することに慣れていない人が多いことに驚く。
何かを判断する際、その出典を求める人がいるが、その根拠となる文献は木造の参考書にだけ求めても見つからないだろう。
広く構造全般に関する書物を参照し、最終的には自分で判断するのである。
それを工学的判断と言う。

 2x4工法の耐力壁で、両面の倍率を加算することが出来ることは、どの本に書いてあるか、という質問を受けたとこがある。
並列バネなので、フックの法則による、と答えた。ニュートン力学である。
 このように、何にでも出典を求め、それを覚えるだけでは応用力が身につかないだろう。
軸組工法の建物の基礎と、2x4工法の建物の基礎は違うと言う人もいた。
2x4工法は特殊だから、他の工法とは全く異なる世界の構造であると思っているのかもしれない。

posted by TASS設計室 at 20:41| 木造住宅

2014年01月23日

3/4開口に注目したら、4mを忘れる

 2x4工法の仕様規定で設計したいというので、3/4開口に注意するよう話し、告示1540号のチェックを行うことを勧めた。
ところが、出てきた図面の開口が4mを超えていた。
チェック項目がたくさんあると混乱するらしい。

 どうしても告示1540号の項目で除外したいものがあれば、それなりの検討を加えることになる。
単純に構造計算を行えば良い、とは考えないでほしい。

 緑本のフローチャートを見ながら計画するのである。
この規定を除外するなら、このような計算を行わなくてはならない、ということが分かる。
心配なら、2x4工法の構造設計のできる人に相談していただくほうが良いかもしれない。

posted by TASS設計室 at 14:33| 木造住宅

2014年01月21日

10分の1

 2x4工法の住宅の数は、大雑把に言って、木造住宅全体の約10分の1である。
設計者の数も上記に比例していると考えれば、2x4工法の住宅を設計することのできる設計者の数も10分の1である。
(軸組工法と2x4工法の)両方を設計する人は、意外と少ない。
最初に、どちらか片方を習得してしまえば、残る片方は、異なる部分を学べば理解できる。

建築構造は、RC造 → S造 → 木造 の順に学ぶことを前提としている。
RC造とS造を設計している人は、木造(2x4工法を含む)の構造設計を始めることは容易であろう。

posted by TASS設計室 at 10:20| 木造住宅

2014年01月19日

耐力壁に設ける小開口

 2x4工法の耐力壁に設けられる小開口はどの程度まで許容できるか、という質問に対する回答を見た。
『開口周比』について何も書かれていなかった。
RC造の耐震壁の開口なら、まず最初に開口周比を考慮することは当然である。

 耐力壁に小開口を設ける場合については、告示1540号に規定されていないから、設計者の判断によるという記述がある。
告示1540号だけで設計できるわけがなく、あらゆる知見を判断材料にして設計するのである。
だから、2x4工法を含む木造の構造設計を始める前に、RC造やS造の設計を経験することが必要なのである。

posted by TASS設計室 at 11:12| 木造住宅

2014年01月18日

壁線区画

 2x4工法の設計は、壁線区画を意識して計画する。
壁線区画をチェックしていると、途中で分からなくなってしまう人がいる。
考えていて、疲れてしまうのかもしれない。

 そんな場合は、サインペンで壁線区画の全ての辺に印しを付ける。
雁行する辺があっても良いから、四角形を作り、各辺に注目する。
4つの辺全てについて、1辺の長さの4分の1が耐力壁であることを確認する。

 浴室やトイレなどの水回りについては、ひとまとめにして考えることができる。
あるいは、いくつかの部屋をひとまとめにして、壁線区画にしてしまう。
壁線区画の内部の壁を支持壁とみなす人がいるが、壁線区画で仕切られた四角形の中に耐力壁があっても良いと私は考えている。
壁線区画の規定は満たしているので、プラスアルファの耐力である。
しかし、その場合は偏心率をチェックしたくなる。

posted by TASS設計室 at 23:27| 木造住宅

宅地開発

 宅地開発を行う場合、出来る限り有効面積を増やしたい。
そのような場合、一部に無理な計画を集中させることがある。
20宅地のうち、2〜3の宅地に地下室を設けて土圧を受けるなど、擁壁ではなく、建物で土圧を受ける方が合理的な設計ができる場合がある。

 肉や魚で言えば、捨てるような部位を使うようなものである。
食肉業界の人に聞いたことだが、利益率で言えば、ホルモンがトップだそうである。
棄てるものを加工して食べられるようにしているのである。
屠畜場には、ホルモンの下ごしらえをする作業場もある。

posted by TASS設計室 at 08:57| 木造住宅

2014年01月17日

2x4工法のQ&A

 日本2x4建築協会のHPには、2x4工法のQ&Aが掲載されている。
会員専用のページだが、見ることのできる人は見てみよう。
Q&Aを読んだだけでは解決できないこともあるかもしれない。

 建築に限らず、工学というものは、ドラえもん的発想が必要である。
こんなことが出来たら良いな、という発想だが、ホリエモン的発想は歓迎しない。
そのような観点でQ&Aを見て、問題点の解決策を考えることも楽しいではないか。

 いい加減に、言われたことだけをやる、決められたことをやる、という仕事から脱却するのだ。
そのためにも、研究心のある人が、2x4工法の構造設計に参入することが必要だろう。

posted by TASS設計室 at 21:50| 木造住宅

2014年01月14日

壁量計算で600mmの耐力壁

 4号建築の壁量計算で、600mmの長さの壁を耐力壁としている人がいた。
氷山の一角と思われる。

 仕様規定を理解する際、許容応力度計算を行うと、判断の助けになる。
しかし、許容応力度計算を行いたくない、行えないから仕様規定で設計しているのである。
また、仕様規定の理解や運用に関しても、的確に理解できない人が少なからず存在する。
 特に告示1540号は難解らしい。
理解し得ない理由を考えてみたい。


posted by TASS設計室 at 19:58| 木造住宅

2014年01月12日

木造住宅から鉄骨造住宅へ

 小規模な建物は、木造で設計するよりも鉄骨造にしたほうが良い場合がある。
特に狭小地の建物、変形した建物は、鉄骨造を視野に入れて計画する。

 鉄骨造の計画に慣れていない人は、参考図を入手し、その図面を見ながら設計すると良い。
構造詳細図を先に作成し、その図面を基に仕上げを入れると矩計図になる。
このような方法で設計すると、鉄骨造に慣れていない意匠設計者にも、鉄骨造の設計が可能になる。

 都市部の狭小地の建物を計画する場合、鉄骨系のハウスメーカーと競合することがあると思う。
そのような場合、木造の意匠設計者は、上記の方法を思い出すのである。
構造設計者なら誰でも、その程度の意匠設計ができるので、設計については、構造設計者にサポートしてもらうと良いだろう。
私が言う構造設計者とは、木造専業の構造設計者は含まない。
構造設計一級建築士の資格を持っていても、実務経験が伴わない人も少なくない。

posted by TASS設計室 at 21:07| 木造住宅

2014年01月10日

告示1540号で、初めて構造を意識する

 2x4工法の計算を行うようになって告示1540号に接し、初めて構造を意識するようになるようである。
告示1540号の前に、一般的な構造に関する知見があるので、それらを踏まえた上で告示1540号を理解するのもであり、告示1540号を理解するだけで設計することは難しいだろう。


posted by TASS設計室 at 10:08| 木造住宅

2013年12月29日

木材利用ポイント対象樹種にベイマツ

木材利用ポイント対象樹種にベイマツ(米国産)が追加された。
TPPの交渉の結果だろう。

林野庁HPより
http://www.rinya.maff.go.jp/j/riyou/point/tsuika1.html

木材利用ポイントとは、国産材の利用拡大が目的であったと思うが、ベイマツが追加された。
ベイマツはダグラスファーである。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%82%A4%E3%83%9E%E3%83%84

posted by TASS設計室 at 15:12| 木造住宅

2013年12月23日

簡易計算の目的

 スパン表をはじめとして、部材断面や配筋を簡易的に求める方法が模索されている。
上部構造は壁量計算とN値計算が用いられているが、基礎の簡易計算は未完成である。
建物形状は理解できるが、荷重や応力を考えることのできない人を対象とした設計方法である。
ブラックボックスにしてしまうと、審査機関からの質疑に対応しにくくなるので、プログラムの仕様や計算過程を分かりやすく示すことが必要になるだろう。

 しかし、『脱スパン表』『脱簡易計算』ということは考えないのだろうか。
荷重や応力を意識することができるようになれば、建物の安全性について論ずることができる。

 2x4工法を例にとれば、告示1540号と構造計算プログラムの仕様を一致させることである。
構造計算プログラムを告示1540号に合わせるのではく、その逆もあり得る。
現在市販されている構造計算プログラムは、『kizukuri-2x4』的計算と、『2x4壁式』的計算がある。
告示1540号や緑本を参考文献とみなし、自由に判断して設計しているのが現状だろう。それで良いのだ、設計は。

 木造住宅専業の設計者を甘やかすのではなく、しっかり勉強してもらう方向に向かわせることが必要である。構造力学を理解し、力が見えるようになれば、木造住宅の業界の技術力が上がるのではないだろうか。

 木造住宅の設計者向けの構造に関する入門書があるが、読むだけで理解することのできない人が、そのような本を手にしている。分かっている人が読むような本ではない。
このあたりの問題を解決することが必要だが、敷居を低くすることで解決する問題とは思えない。
対象者の技量は分かっているので、落しどころは容易に想像できる。

posted by TASS設計室 at 12:00| 木造住宅

2013年12月17日

鉄筋コンクリートの比重

 水の比重は 1.0
コンクリートの比重は 2.3
鉄筋コンクリートの比重は 2.4 である。

 SI単位で構造計算する時、鉄筋コンクリートの単位体積重量は 24kN/㎥ で良い。
時々、誰彼構わず質問してみるが、意外とご存じない。
それでも構造計算の勉強を行いたいと言う。
どこまで基礎的なことに戻って教えなければならないのだろう。

 四則演算はできるようだが、三角関数や指数計算になると怪しくなる。
許容応力度計算では単位の換算も必要になるが、かなり混乱する人も少なくない。
壁量計算が限界であることが理解できる。
梁断面を決める場合は、荷重や応力を意識させてはならないことも理解できる。

posted by TASS設計室 at 22:27| 木造住宅