2023年03月08日

構造設計者は論述することに慣れることである

構造設計者は論述することに慣れることである。漠然とした考えはあるようだが、それを書いてみると論理性が明らかになる。
そのためには用語の定義を明確にする。
posted by TASS設計室 at 11:38| 構造設計

2023年03月07日

液状化の検討

砂質地盤の液状化の検討は行うべきである。地盤調査会社にオプションとして依頼することができる。
150gal、200gal、350galで行うことが一般的で、150galで液状化しなくても、200galで液状化することもある。350galではPL値とDcyで判定する。確認申請上は150galで液状化しなければ、最低限の基準は満たしていると判断する。
当方は地耐力と液状化の検討、杭の計算は自分で行い、業者に依存しない体制にしている。構造システムのBUS基礎で計算する。
posted by TASS設計室 at 07:51| 構造設計

2023年03月06日

杭基礎に慣れる

意匠設計者は計画段階から杭を想定した計画に慣れよう。
基礎の工事費を安くしたい一心で、基礎梁の成を小さくしたがる人がいる。土工事や山留に注目しすぎて基礎梁に無理がかかる。基礎梁成の目安はスパンの大小にもよるが、建物の高さの5%から10%、あるいは6%から12%という目安がある。配筋の状態を見ながら調整するが、梁幅を広げて梁成を極端に小さくすることは経済的とはいえない。
設備のピットやスリーブのことを考えると、ある程度の梁成が必要になる。どちらが経済的か分からないが、掘削を浅くするなら、基礎をフラットスラブにすることも考えられる。
posted by TASS設計室 at 23:19| 構造設計

2023年03月05日

軒高・最高高さ

建物と地盤が接する高さが均一でない場合は平均地盤面を法規上の地盤とするが、それでは設計上に微妙な数字が出て煩雑になる。設計GLを基準として高さ関係を決めると、杭長などの計算がやりやすい。
それに、平均GLは決まりにくく、意匠設計が数字を変えるので、構造設計に採用したくない。
一次固有周期の計算は、建物と地盤が接する最も低い高さにするほうが良いが、『整合性』しか見ない審査担当者に『高さが意匠図と不整合』と言われる。そんなことを予見し、一時固有周期の計算用の高さを平均GLからの高さとすることが多い。T=h(0.02+0.01α)で、多くはT<TcのためRt=1となる。
Ai分布で 2T/(1+3T)に影響するが、Tが大きくなれば2T/(1+3T)は必ず大きくなるので、気にしない。
2T/(1+3T)=(2/3)・(1-1/(1+3T))と変形すれば分かる。
そんなことは承知で、建物と地盤が接する最も低い高さからの高さとすると軸組図に記載することでもよい。
posted by TASS設計室 at 19:35| 構造設計

軒高、最高高さ

建物と地盤が接する高さが均一でない場合は平均地盤面を法規上の地盤とするが、それでは設計上に微妙な数字が出て煩雑になる。設計GLを基準として高さ関係を決めると、杭長などの計算がやりやすい。
それに、平均GLは決まりにくく、意匠設計が数字を変えるので、構造設計に採用したくない。
一次固有周期の計算は、建物と地盤が接する最も低い高さにするほうが良いが、『整合性』しか見ない審査担当者に『高さが意匠図と不整合』と言われる。そんなことを予見し、一時固有周期の計算用の高さを平均GLからの高さとすることが多い。
T=h(0.02+0.01α)で、多くはT<TcのためRt=1となる。
Ai分布で 2T/(1+3T)に影響するが、Tが大きくなれば2T/(1+3T)は必ず大きくなるので、気にしない。
2T/(1+3T)=(2/3)・(1-1/(1+3T))と変形すれば分かる。
そんなことは承知で、建物と地盤が接する最も低い高さからの高さとすると軸組図に記載することでもよい。
posted by TASS設計室 at 19:25| 構造設計

ルート3・ルート2

RC造とS造はルート3が多いが、4層以上の2x4工法はルート3が必須、木造軸組工法はルート2が定番の計算方法である。そこに2x4工法の4層以上が少ない理由がある。
『2x4壁式3』は購入したものの、構造計算が出来ずにお蔵入りしている人も少なくない。それは簡易なプログラムで木造から構造計算を始めた人に多く見られる。普通の構造設計者が、顧客の要望で木造に手を出すことが適している。構造計算プログラムの使い勝手も、構造設計者向けのものであり、ハードルの高さを感ずる。

2x4工法の意匠設計者は3階建ての延長線上で4層を考えている人が圧倒的多数である。木造でも4階が建てられるという素人同然の知識しかない建築士も少なくない。壁端部のスタッドの本数が6〜7本になるので、ホールダウン金物の効きを考慮すると、耐力壁の長さは1365mm以上が理想である。
それが無理と分かると鉄骨造を考えるが、軽量鉄骨造が安く、柱形が出ないからよいという判断をされる。ところが、鉄骨の加工費がかかるので、軽量鉄骨造は割高になる。
軽量鉄骨造を採用する際のコストパフォーマンスとしての分岐点は、柱通しの3階建てが限界である。ルート1が適している。したがって軒高9m、延床面積500u以下である。
posted by TASS設計室 at 10:47| 構造設計

2023年03月04日

液状化の判定

基礎を設計する際に液状化の判定を行っている。
150galでFL値が1.0を超えるか超えないか微妙なところでは、当然だが200galでは1.0を下回る。
そんな時、350galでPLとDcyで判定すると5以内で納まることもある。
杭基礎あるいは地盤改良を行いたい。BUS基礎でこんな計算もできるので、ボーリングデータが届いたら計算することをお勧めする。杭や地盤改良の業者の設計を評価する際の参考になる。


posted by TASS設計室 at 01:08| 構造設計

2023年03月03日

手計算は捨て難い

固定法、D値法、平均せん断力法、仮装仕事法、節点振分け法
これらの計算方法は手計算の時代には当たり前のように使われていた。耐震診断や改修工事で、建設当時の構造計算書を見るが、保有水平耐力計算も手計算で行われていた。感覚を養うには手計算は重要である。
コンピュータで計算されたものを手計算でチェックするには、上記の計算が役に立つ。それに加え、耐震診断の計算方法もRC造には有効で、RC造を設計する人は耐震診断も行う。
要領よく、簡潔にまとめられた構造計算書を見ると、さすが大手設計事務所、スーパーゼネコンと思うものに出合う。その中には大手設計事務所の代表が、若い頃に設計した木造の幼稚園もあった。木造だが曲面の梁にC形鋼を使い、鉛直ブレースは16Φであった。木造はこうでなければならない。柔軟な考え方に脱帽である。
2x4工法が輸入住宅といわれ、鉄骨造で日の字柱が使われていた時代である。RC造では異形鉄筋と丸鋼が併用され、壁・床・せん断補強筋が丸鋼の建物は、耐震診断でお目にかかる。


posted by TASS設計室 at 16:42| 構造設計

2023年03月01日

耐震性能ポテンシャル

耐震等級は取得しないまでも、どの程度の耐震性能があるか知りたいという建築主がいる。
多少の余裕があるので、標準せん断力係数を0.2から0.21 、0.22と増加させ、どこで降伏するかを求め、検定比が1.0を超える寸前の標準せん断力係数を求めた。
標準せん断力係数が0.25なら、耐震等級2になるが、それは叶わなくても 0.23まで検定比が1.0以下であれば、耐震性能ポテンシャルとして示した。
部分的に降伏したところで、水平力は他に流れるので、いきなり倒壊することはないが、どこから塑性化し、どこにヒンジができるか、順を追って示すと分かりやすい。分かりやすく説明するため、単純な方法とした。
ルート1でよい建物でも、保有水平耐力計算を行うと安心する人がいる。1000galで許容応力度以内を希望する人もいた。防災倉庫で、そんな設計を行ったことがあるが、軽い建物は無理なく納まった。
だから、同じデータを使ってルート3まで計算できる構造計算プログラムがあると便利である。蛇足として、耐震診断の計算を行い、Is値を示したことがある。
ルート判別表の結果を志賀マップにプロットしてみることもよいかもしれない。
聞きかじりで、Qu/Qun や Is値という言葉を知っている人は、興味をもたれるようである。震源の方向を想定し、地震の方向を変えて計算することもよいと思う。地震の被害を受けた建物で、鉛直ブレースの座屈が、みごとに地震の方向と一致していた体育館があった。
posted by TASS設計室 at 22:33| 構造設計

2023年02月27日

基礎柱型の重量

一貫計算では柱脚の柱型と基礎梁が重なる部分の重量を控除するか、控除せずに拾うか、選択することができる。通常は重複して拾い、余裕とする。柱とフーチングが重なる部分についても同様に考える。
現在は一貫計算で基礎まで連続して計算するが、基礎を分離して計算する場合は、重複して拾うことが多い。
後で修正する際に、荷重の拾い落としを気にしなくて済む。
posted by TASS設計室 at 08:13| 構造設計

2023年02月26日

高さの押さえ

平面図と同様に高さの押さえは重要である。
たたき台の図面を作成して意匠設計者に送るが、自分で意匠設計を行う場合は、基本的な高さを決めてから図面を描き始める。構造階高を決め、仕上げを載せる。
このあたりが整理できていないと、設計が進んだ後で寸法を調整すると、修正する図面が増えるので、最初の段階で確定する。
矩計図は構造設計者が作成するものと思い込んでいた意匠設計者がいた。今まで描いたことがなかったようだ。おしなべて断面と名がつく図面が苦手のようだ。
x-y-z座標なんだけど、zが別の次元に行ってしまっている。
posted by TASS設計室 at 22:55| 構造設計

2023年02月25日

混構造と木造4階は設計者の隙間

混構造と木造4階は、ビルの構造設計者と木造専業の構造設計者の隙間に位置する。
簡易な構造計算プログラムのオペレーションで計算している木造専業の構造設計者は手を出せない。ビルやマンション、工場や倉庫などの構造設計を行っている普通の構造設計者は、木造の業界とつき合いがない人が多い。彼らは混構造や木造4階やそれ以上の木造建築を設計できる技量はあるが、やらないだけである。

木造専業の構造設計者が、混構造や木造4階建ての構造設計に手を出すと、いきなり今まで聞かなかった言葉に出合い面食らう。その差を埋めるには、RC造とS造の構造設計を経験することだが、その差を木造側から攻める方法を考える。数冊の参考書にさらっと目を通し、必要なところだけを拾い読みする程度で効果がある。それで『木三郎4』と『2x4壁式3』の計算内容を理解することができる。
posted by TASS設計室 at 08:59| 構造設計

2023年02月24日

小規模RC施工図的構造図

面木や目地、フカシまで記入し、施工図のような構造図になった図面がある。サッシュアンカーも入れておこう。ここまで描いたら現場は楽だろう。この段階では建具まわりの躯体寸法が決まらないので、開口寸法に余裕をみている。鉄筋を組んでしまったら、動かすことが大変なので、逃げを考える。
ルーフドレンまわりの下がりやドアの沓摺の欠きこみを考慮して梁を下げるか決めていない。先手を打って下げておいても、下げる必要がないかもしれない。関係者は現場が始まらないと意識しないことなので、どうにでもなるようかぶり厚さに余裕をみておく。

しかし、この程度のことは施工標準図に加えておくと注意喚起になる。ゼネコンが施工するRC造なら、しっかりした躯体図が出てくるが、小規模な建物は躯体図を作成しない現場が多い。ゼネコンでは、構造種別ごとに詳細設計のディテールシートを備えることが一般的である。これでけっこう設計の手間を省くことができる。現場と設計の共通の認識があると、話しが通じやすい。


posted by TASS設計室 at 13:17| 構造設計

2023年02月23日

ベタ基礎の接地圧

ベタ基礎の接地圧は建物の外周の面積で計算すると、当たり前のことだが接地圧が若干小さくなる。
地盤改良の設計に余裕が出る。図心と重心のズレを考慮した接地圧を求める。安全率を1.2などとして計算している計算書を見かけるが、その根拠を示す必要がある。
塔状比が2.5を超えなくても、2.5に近い場合は、念のため建物の短辺方向の短期接地圧を計算する。計算するまでもなく、短期接地圧は長期の2倍以下になるが、建物がセットバックしている場合は、きわどい結果になるので、手間を惜しまず検討を省かないほうがよい。
posted by TASS設計室 at 17:30| 構造設計

2023年02月22日

関係のなさそうな概念をつなげる

建築構造には様々な知見がある。そこで関係のなさそうな概念をつなげてみると面白い。
木造の構造設計にRC造やS造の知見、RC造の耐震診断の手法を取り入れるのである。だから僕は昔から木造の構造計算を始める前にRC造とS造を学べと言っている。
木造軸組工法と2x4工法を別物としている人は相乗効果が得られない。
posted by TASS設計室 at 11:48| 構造設計

2023年02月20日

躯体工事の設計施工

これからは躯体工事の設計施工という業態が発展する。元請けの建設会社は、内外装の仕上げ工事と設備工事を行う。構造設計と躯体に施工管理が苦手でも、この方法なら建物が建つ。
昔から躯体業者という業種があり、RC造の躯体を専門に施工する会社がある。鉄骨造はシステム建築やプレファブもある。それらをうまく活用してお化粧する。木造のプレカットや2x4工法のパネル化も同じようなものである。意匠設計者は得意な仕上げに注力することができる。
何が良いかといえば、躯体と仕上げを分離することができ、設計が単純になることである。当然、計画上の制約はあるが、そのルールを崩す場合は、特殊な部分を限定することでコストに対する影響を少なくすることができる。

posted by TASS設計室 at 18:36| 構造設計

2023年02月17日

建築工事はサブコン頼み

現場の施工管理ができない会社が増えたため、建築工事はサブコン頼みになった。
鉄骨造の柱脚は100%ベースパックなどを使用する。アンカーボルトの位置決めから信頼できる会社に任せたい。杭や鉄骨は専門業者によるが、土工事も地盤改良を含みサブコンに丸投げになる。
僕は中小の会社には、RC部分の工事を躯体専門業者に丸投げにすることを勧めている。躯体工事に慣れた現場管理者に任せるほうが良くありませんか。ゼネコンでも、躯体工事の管理は、鉄筋の施工管理に慣れた監督が行っている。
posted by TASS設計室 at 17:09| 構造設計

2023年02月16日

液状化の検討

地盤改良を行い、液状化層は明らかに地盤改良の範囲に入るので、液状化の計算は行わなかった。2層地盤であるという指摘を受けたので、確かにその通りだが、現地盤の支持力と液状化の計算を行ってみた。200galでFL<1であった。150galでFL>1ならよいので、その旨記載した。念のため350galでDcyとPLを計算したら、Dcy<5、PL<5 であった。ここまで計算しておけば文句あるまい。
判定が微妙なところで変化する。これらの計算は、地盤調査会社の計算結果と異なることがある。土の物理試験を行い、同じ数値を使って計算しても、微妙に異なる結果となった。
土木の専門家には申し訳ないが、構造設計者として自分の計算結果を用いた。同じ計算を複数で検証することは良いことなので、今後もこんな方法を採用する。
小さな敷地で、建物を建てる所だけ液状化対策を行っても、どの程度の効果があるか分からない。支持杭なら安心である。

posted by TASS設計室 at 14:47| 構造設計

2023年02月14日

設計図と施工図

構造設計に加え、施工図の依頼をいただく。
それなら施工図的構造図にしてしまおうということになる。小規模な建物の場合、施工図、特にコンクリート施工図を作成する習慣がない会社が多く存在し、それらの会社は『施工図屋』と称する施工図専門の人に図面の作成を依頼する。
ところが、その施工図専門の人の中には、構造図と計算書から施工図を作成する技量が低く、いちいち質問してくる人がいる。そんな面倒な人を相手にするより、自分で描いたほうがよくなってしまう。
鉄骨造の場合は、構造図のCADデータを引き伸ばした程度の製作図が出てくることが多くなった。仕口と継手の詳細を作成し、加工寸法を確認することが製作図の目的で、原寸のフィルムを出すことが目的である。
設計段階で描くこともあるが、鉄筋が錯綜する部分や柱脚の配筋詳細図を施工図として作成することもある。
施工図の担当者は構造設計者であることが望まれる。構造計算を理解した上での施工図である。
posted by TASS設計室 at 11:34| 構造設計

2023年02月12日

鉄骨造3〜5階建て

都市部の5階建ての需要が出るので、建築計画を行う意匠設計者は鉄骨造の設計が出来るようにする。ALCのディテールを理解し、エレベーターシャフト、鉄骨階段の詳細設計が出来れば設計できる。杭はスクリューパイルを使うことになるので、杭に関する知識が必要になる。狭小地の場合は、杭打ち機械の機種で施工可能な杭芯位置が決まるので、計画段階から注意する。
建物を軽量化するには、床をALCにすることもあるが、どうもALCの床は好きになれない。
鉄骨造3階建て、準耐火構造なら、外壁を木造にすることもある。206あるいは45x120程度のスタッドを立てて合板を貼り、サイディングで仕上げる。最初は軽量鉄骨のCチャンネルを使ったが、木造にしたら、内部の仕上げとの相性が良いことが分かった。サッシュの取り付けも、木造の大工さんができる。
施工会社が鉄骨造に慣れていれば難しいものではない。
意匠設計者は、この程度の建物なら、どの部位でもディテールが描けなくてはならない。


posted by TASS設計室 at 21:49| 構造設計