2013年08月21日

基本設計の技量が低下

 木造住宅の設計を専業にしている設計者は、基本設計の技量が低下している。
だから 2x4協会では基本講習会を行っているのだろう。業界内部からの要望であると想像する。

 地下室や地下車庫のある建物の設計では、防水や結露に対する対策も眼中にないらしい。
やや面積を大きくすれば、それなりの対応は可能になるが、できるだけ小さくまとめたがっている。
面積を大きくすると工事費が上がることだけを心配していると思われる。
地下室専門の業者に丸投げしているハウスメーカーが多くなっている。

 見積書の見かたを考えると良いだろう。
各項目の工事費で、何が支配的かを見て判断することである。
山留め、土の移動、残土処分に着目すると良い。

 意匠設計者が見積書を見て予算の調整を行い、設計監理を行うが、構造や躯体の施工に関することが適切に判断されているか疑問である。
施工会社の担当者の技術レベルを見抜き、適切に指示してもらいたい。
協力会社が決まってからでないと、施工に関して具体的な話しができないことが多い。

 仕事や勉強のできない人は、できないことをマイナス要因と思っていないことに原因がある。
業務を遂行するにあたり、必要とする知識や技量は、持っていて当然である。
持つべき知識や技量を持たずに仕事をしている人は、無免許運転より始末が悪い。
だから、一級建築士の価値が低いのである。
構造設計一級建築士の選別も始まっている。

 知識の絶対量が不足している。斜め読みで良いから、仕事に関連する書籍に目を通すことである。
その時に、アンダーラインを引くとか、付箋を付けるとか、メモを加えるのである。
頭の片隅に引っ掛かっていると、後で調べやすくなる。

 木造住宅の設計者と話していると、知識や技術を身につけたがっていることが伺える。
構造計算プログラムを用いて、木造の構造計算を行っている設計者である。
木造の設計は、意匠も構造もない。意匠設計者が構造計算も行うことが良いと私は考えている。
 しかし、残念なことに、自分で書籍を探し、独学できるレベルに達していないので、学ぶ方法が分からず右往左往している人たちを見かける。
基本はRC造とS造なので、JSCA主催の講習会を紹介したことがあるが、良く分からなかったという連絡を受けた。
 この差を埋める方法はないものだろうか。
本は買ってみるもの、読んでみるものである。
気に入らなければ、読まなければ良い。
たまには無駄な本を買ってしまうこともあるだろう。

posted by TASS設計室 at 09:51| 木造住宅