2012年09月07日

水平構面の検討

2階床を例にして、Y方向の水平構面の検討を行ってみる。
床面に作用する せん断力を求めるのである。

 建物の大きさは、X方向 10m 、Y方向 6m の矩形とし、
通り芯符号を左から X0、X1、X2、X3とし、通り芯の間隔を左から 3m 、3m 、4m とする。
2階には X0、X1、X3の各通りに耐力壁があり、1階はX0、X2、X3通りに耐力壁がある。
2階のX1通りの耐力壁の直下には耐力壁が無い。

 2階の耐力壁の位置と作用する水平力を、左端(X0通り)から示す。
X0通り 7.49kN 、X1通り 5.99kN 、X3通り 9.99kN とする。
 1階の耐力壁の位置と作用する水平力は、
X0通り 20.46kN 、X2通り 15.35kN 、X3通り 20.46kN とする。
これらの数値は、許容応力度計算の結果を用いる。

 何もせずに求まる数値は、X0〜X1間のX0に近い部分である。
1階のX0通り 20.46kN と 2階のX0通り 7.49kN の差
20.46-7.49=12.97kN がX0〜X1間のX0側のせん断力である。

 同様にして X2〜X3間のX3側の せん断力は、
1階のX3通り 20.46kN と 2階のX3通り 9.99kN の差
20.46-9.99=10.47kN がX2〜X3間のX3側のせん断力になる。

 中間部の床に作用するせん断力を求めるための準備として、2階の床面に作用する水平力の平均を求める。
1階の耐力壁に作用する水平力の合計は、
20.46+15.35+20.46=56.26kN
2階の耐力壁に作用する水平力の合計は、
7.49+5.99+9.99=23.47kN
X方向の建物の長さが 10mゆえ、
(56.26-23.47)/10=3.28kN/m

後は、先ほど求めた X0通りのせん断力を出発点にして、足したり引いたりする。
X0〜X1間のX1寄りのせん断力は、
12.97-3.28x3=3.13kN
である。
X1通りには、2階の耐力壁からの水平力 5.99kNが作用しているので、
X1通りを境にして せん断力が変化する。
3.13-5.99=-2.86kN
である。
マイナスであろうと、プラスであろうと、せん断力が生じていることには変わりない。
これが、X1〜X2間のX1寄りの せん断力の値である。

X1〜X2間のX2寄りの床面に作用する せん断力は、
-2.86-3.28x3=-12.70kN

X2通りには、1階の耐力壁があり、15.35kNのせん断力を負担しているので、
-12.70+15.35=2.65kN
がX2〜X3間のX2寄りの床面に作用する せん断力になる。

X2〜X3間のX3寄りの床面に作用する せん断力は、
2.65-3.28x4=-10.47kN
となり、X3通りの上下階の耐力壁が負担する せん断力の差と等しくなる。

 このような計算を、各階、X方向、Y方向について行い、床の合板の釘打ちの検討を行うのである。
床面に吹き抜けがあれば、それだけ、せん断力を負担する床が少なくなるので、釘打ちの間隔を狭くするとか、CN50をCN65 にすることも必要になる。

 この計算方法は、軸組工法でも2x4工法でも、S造でもRC造でも、何にでも適用できる。
2x4工法の設計者は、2x4工法で頭が一杯になり、軸組工法のことは頭に入らない。
軸組工法の設計者は、軸組工法で頭が一杯になり、他の工法を学ぶ余裕がない。
 木造は特殊で難しいという人は、かなり高度な設計を行っている人に違いない。
2x4工法も特殊な工法かもしれない。

posted by TASS設計室 at 13:12| 木造の構造計算