2011年05月11日

2x4工法の耐力壁に木摺り壁

2x4工法の耐力壁に木摺り壁を使ったら、耐力はどの程度になるのだろうか。
明治時代・大正時代の洋館は、こんな設計であった。
新グレー本を参考にして判断することができるが、木摺りを両面に釘打ちとしても 1.0倍という低い値である。
層間変形角 1/120rad で 1.96kN/m である。
石膏ボードと比べると剛性は低いが、変形能力を考慮すれば、終局耐力は木摺りのほうが上回るような気がする。

木摺りの上には、仕上げも施されており、その仕上げ材が木摺りを拘束している。
したがって、木摺りのみの場合より、若干の耐力の増加が見込める。
構造用合板の上に、サイディングやモルタルで仕上げた場合も同様に、若干の耐力は期待できる。
剛性も高まる。
しかし、数値化するには至っていない。

このような場合は、許容応力度計算ではなく、保有耐力を求めることになる。
耐震診断における、精密診断の方法を採用する。
在来軸組工法と2x4工法は、同じ耐力壁構造である。
腰壁の耐力を考慮すると、それなりに評価できる。

2x4工法を設計する場合でも、新グレー本や精密診断の方法を借用することもあり得る。
設計規準ができる前の建物を評価する場合は、伝統工法や耐震診断の手法が有効である。
2x4工法は緑本だけでは設計できない。
posted by TASS設計室 at 10:42| 木造の構造計算