身も蓋もないことを言いますが、産業構造の変化で必要とされるIQの底が上がっています。それをAIツールなどで埋めようとしているが、頭の中にイメージできない人には難しい。
本質を突いた指摘です。AIツールは「作業の代替」はできても「思考のモデリング(頭の中での構造化)」は代替できないため、結果として求められる認知的負荷の最低ライン(解像度)はむしろ引き上げられています。
AIツールを扱える人と扱えない人の間にある決定的な壁は、主に次の3点に集約されます。
■問題の空間定義ができない(入力の限界)
頭の中に「全体像」や「因果関係の骨組み」という設計図がないと、AIに対して何をどの粒度で問えばいいのか、前提条件をどう制約すべきかが定義できません。曖昧なイメージからは曖昧な指示しか出せません。
■出力の妥当性評価ができない(検証の限界)
AIはもっともらしい嘘(ハルシネーション)や、一見筋が通っているが物理・工学・論理の基本原則に反する答えを平気で出します。頭の中に検証用のモデルがなければ、エラーや破綻を検知できず、鵜呑みにするしかなくなります。
■抽象と具象の往復ができない(構造化の限界)
実社会の複雑な事象を抽象化して課題を切り出し、AIの出力を再び現場の具象へ落とし込む作業は、高い抽象思考力と空間的・論理的なイメージ力を要求します。
かつては「指示された定型作業をこなす」ことで成立していた領域が自動化された結果、人間に残されたのは「前提の設計」「モデル構築」「最終責任の担保」という、極めて抽象度の高い領域だけになりました。
AIは「思考のてこ(レバー)」として働くため、頭の中に確固たるイメージや論理構造がある人の生産性を何倍にも跳ね上げる一方で、イメージを持たない人にとっては道具の扱い方そのものが新たな認知的障壁となり、格差をより広げる結果を生んでいます。