僕が設計しているものではないが、大幅な予算調整が必要な温浴施設の計画がある。それを1か月で行いたいという。今までの経緯を見ていると、絶望的な要望である。
僕はエスキースの段階で事業主の顧問に協力して構造計算を行い、躯体の概算工事費を出すまで手伝い、その後は別の設計事務所が引き継いでいる。地下1階・地上5階で計画したものを地下1階・地上4階にするとのこと。設備の比重が高い用途の建物である。
目的を考えると建物の規模が小さく、客が満足するような施設になりうそうもなく、利用者が一巡したら飽きられる。第1案は中止することである。第2案はビジネスホテルかな。第3案はカプセルホテルである。付けたければ大浴場をつければよいが、意外と利用されないものである。中に飲食店を入れても、周辺に店がたくさんあるので、利用されることは少ないだろう。テナントとしてファミレスが入りそうな場所でもない。建築計画以前のことなので、僕が口を出すことではない。
建設可能な地域か知らないが、場所的にはラブホテルに適した条件である。駅前ではなく駅から近い裏通りに面した場所である。こんなことは事業主なら気づいているに違いない。出来ないから計画しなかった。