構造設計を依頼されるが、それ以前の下調べが不完全な案件がある。
新築の設計は出来るが、改修工事になると、ストーリーが見えていない設計者が少なくない。
鉄道の高架の下に建つ建物の場合、公団との協議や資料の閲覧、荷重条件などのヒアリングが必要になる。相手は土木の技術者である場合が多く、並みの意匠設計者では話しができないだろう。
港湾や道路に関しても同様である。トンネルの上に建物を建てたり、海に面した建物もある。干潮になると陸地になる敷地に建物が建つか調べている。具体的に役所に聞くほうが早い。
審査機関で構造設計の審査を行っていた時、大手設計事務所の設計で、建物の一部が海の中にある計画に出合った。構造設計としてはJASS5に記載されていることを考慮すれば通常の設計と何ら変わらない。
海水の比重が 1.02 というものが港湾基準にあった。波力の計算は馴染がないので、基準を見ながら計算する。建物を建てることができる場所なので、湾内の穏やかな場所である。それでも台風の時は波風が強いだろう。付近には普通の木造住宅が建っている。