耐震等級は取得しないまでも、どの程度の耐震性能があるか知りたいという建築主がいる。
多少の余裕があるので、標準せん断力係数を0.2から0.21 、0.22と増加させ、どこで降伏するかを求め、検定比が1.0を超える寸前の標準せん断力係数を求めた。
標準せん断力係数が0.25なら、耐震等級2になるが、それは叶わなくても 0.23まで検定比が1.0以下であれば、耐震性能ポテンシャルとして示した。
部分的に降伏したところで、水平力は他に流れるので、いきなり倒壊することはないが、どこから塑性化し、どこにヒンジができるか、順を追って示すと分かりやすい。分かりやすく説明するため、単純な方法とした。
ルート1でよい建物でも、保有水平耐力計算を行うと安心する人がいる。1000galで許容応力度以内を希望する人もいた。防災倉庫で、そんな設計を行ったことがあるが、軽い建物は無理なく納まった。
だから、同じデータを使ってルート3まで計算できる構造計算プログラムがあると便利である。蛇足として、耐震診断の計算を行い、Is値を示したことがある。
ルート判別表の結果を志賀マップにプロットしてみることもよいかもしれない。
聞きかじりで、Qu/Qun や Is値という言葉を知っている人は、興味をもたれるようである。震源の方向を想定し、地震の方向を変えて計算することもよいと思う。地震の被害を受けた建物で、鉛直ブレースの座屈が、みごとに地震の方向と一致していた体育館があった。
2023年03月01日
耐震性能ポテンシャル
posted by TASS設計室 at 22:33| 構造設計