2x4工法4階を設計する前に
木造4階の相談を受けるが、構造設計の協力事務所の様子を伺うと、木造専業の人しかいない会社が殆どである。社内に構造設計などの技術部門を持たず、見積り部門だけで受注している。
鉄鋼メーカーが鉄骨架構を設計施工で工事を受注するように、木材の資材メーカーも構造体を設計施工で受注する。
2x4工法の4階建ての構造設計のできない意匠設計事務所や施工会社が主要な客だが、4階建て、あるいは5階建ての受注に力を入れたいのなら体制を整えることだ。
2x4工法に詳しい担当者はいるというが、アーキトレンドで構造図を作成し、kizukuri-2x4が分かる程度である。
そこまで話しを聞いて、こりゃダメだと思い、鉄筋コンクリート造と鉄骨造の構造設計の出来る人を集めるよう言った。
相手は疑問に思ったようだが、建築の基本は鉄筋コンクリート造と鉄骨造であり、それらの中に多くの知見が含まれることを説明した。
2x4工法の4階以上になると、1〜2階を鉄筋コンクリート造にすることや、外部鉄骨階段を付けることもある。それらをまとめて設計するのだから、木造しか知らない人には無理である。
2x4工法は4階建てになると急に難しくなる。構造計算ルートはルート3になり、保有水平耐力計算を行うことになる。
木造4階建てになると軸組工法に誘導する構造設計者がいるのは、軸組工法はルート2で設計できるからだろう。
2x4工法でも、3階建てで軒高9mを超える場合は、ルート2の設計も有り得る。確認申請はルート2の審査ができる審査機関に提出すれば、適判を避けることができる。店舗や事務所など、階高を高くする場合は、こんな方法がある。
社内に2x4壁式を2〜3本購入し、構造図を作成している人が使えるようになると良いのではないかと話した。壁式CADと併せ、自動作図を行うと、計画段階の積算に有効である。kizukuri-2x4以上2x4壁式未満の担当者には教育が必要になる。自分で勉強する人は少ない。
2x4工法が苦手、2x4工法の耐火構造や4階建て以上に手が出ない会社は多数あり、その市場を掘り起こすことができる。
客先となる意匠設計事務所と話しができ、施工を受注するのだから、見積りを行うにしても、設計のことが分からなくては話しができない。
多くの仕事は、施工図を受け取って木拾いすることだから、その段階の人では4階建ての見積りは無理に違いない。タイダウンを理解していないと見積りも難しい。
4階建てでも、木造2階建ての基礎しかイメージできないようで、アンカーボルトのコーン破壊も意識されていない。
2x4壁式で、e-PileやEAZETなどのスクリューパイルを使うことがあるので、杭頭モーメントを基礎梁に曲げ戻す計算がコンピュータで出来たらよい。杭基礎の際の基礎梁の計算ができる人は、木造専業の構造設計者にはいないだろう。杭と言えば地盤改良の杭と思っている人が大半である。
2022年04月09日
2x4工法4階を設計する前に
posted by TASS設計室 at 09:32| 2x4工法