2015年08月14日

枠組壁工法の応力図

枠組壁工法の応力図をご覧になって、不自然なことに気づくだろうか。
水平力荷重時の応力で、マグサの端部にモーメントが生じているが、マグサの断面検定では、マグサを単純梁として計算し、端部のモーメントに関しては何も考慮していない。
どのような構造でも、モデル化して計算しているので、完全な剛接合や完全なピン接合というものは存在しない。鉄骨の小梁の端部は、ウェブのみをボルト接合して、ピン接合として計算する。RC造の小梁は、外端の固定度を落として計算している。

枠組壁工法に話しを戻す。水平荷重時のマグサの端部のモーメントは、許容曲げ耐力に達したところで頭打ちになり、それ以上の曲げは負担できず、反曲点が上がってバランスするのではないだろうか。
いっそうのこと、反曲点高比を 1.0 にして計算するほうが納得できる。
保有水平耐力計算では、マグサの端部にヒンジができ、壁の反曲点高比を 1.0 として計算する。
構造特性係数を 0.3 とすれば、外力は層重量に Ai と 0.3 を乗じたものになり、標準せん断力係数 0.2 の 1.5 倍の水平力になる。壁の終局耐力は、短期の 1.5 倍なので、外力が 1.5 倍になり、耐力も 1.5 倍になったことになる。
一次設計では、反曲点高比を 0.5 にするが、反曲点高比を 1.0 として計算すると、単純に考えると引抜力は 2 倍になる。それだけのことである。

細かいことを言うと、枠組みの壁の部分と床の部分では、変形が異なる。床組高さの範囲はスラブのようなものなので剛体とみなし、壁の部分のみを変形の対象とすることも考えられる。あるいは、床組高さの範囲の変形をリアルに求めてみることも考えられるが、壁よりも変形は少ないのではないだろうか。ただし、床根太の方向があるので、変形は床根太の方向で異なるに違いない。
木造は部材数が多いので、考えるべき要素が非常に多い。それでも、各層を1つのバネとして、串団子の要領で計算するのである。

posted by TASS設計室 at 10:11| 2x4工法