2023年03月10日

構造設計者は脇役の専門職

意匠設計者は主役で、構造設計者は脇役の専門職である。
主役は美男美女なら見てくれる。
構造設計者が主役の映画は『超高層のあけぼの』くらいだろうか。
posted by TASS設計室 at 10:37| 建築士

ディテールを描き始めるとキリがない

鉄骨造はディテールを描き始めるとキリがない。
気になる所が結構ある。柱脚の配筋から始まり、屋根の防水、水切り等々である。久しぶりに本気になって図面を描くことにする。はっきり言って、住宅系の設計者は甘い。
日影図は作成してあるので、中高層の申請は書類が整えば提出できる。
posted by TASS設計室 at 08:38| 鉄骨造

なぜ木造専業の構造設計者は適合性判定を避けるのか

木造4階建てが普及しないのは、木造専業の構造設計者が構造の適合性判定(適判)を避けることにある。言葉が通じないので、適判は敷居が高いのだろう。構造設計一級建築士の資格は取ったものの、RC造やS造の構造設計ができない木造専業の構造設計者がいる。
判定員の資格が創設された最初の試験で、5回連続で落ちた人を2人知っている。話しをしていると、それなりに話しができる人だが、彼らの話は論理性や用語の定義が甘いと感じる。彼らが書いたものは見たことがない。このあたりが境界線であることが分かった。でも、構造設計一級建築士の試験に彼らは1発で合格している。

4階建ての多くは保有水平耐力計算が必須なので、そこで引っ掛かっていると見ている。
4階建てでも、ルート1で設計できるのは、
@壁式鉄筋コンクリート造
A耐震壁付きRCラーメン
である。RC造は高さ20mまでルート1が選択可能であり、木造や鉄骨造より優遇されている。
ルート2は、
B鉄骨造
C木造軸組工法
D耐震壁付きラーメン
ルート3は、
E2x4工法《これしか選択肢がない》
F壁式鉄筋コンクリート造
G鉄骨造
HRCラーメン構造
大手ハウスメーカーでは、4階建ての認定工法があるらしいが、縁がないので詳しく知らない。


posted by TASS設計室 at 07:53| 木造の構造計算

パイルド・ラフト基礎

パイルド・ラフト基礎について調べていた。
一般的には支持力はラフトで確保し、沈下低減の目的で使用する。小規模建築で取扱う杭状地盤補強は、まず杭体によって必要支持力を確保することが前提とされている。群杭効果についても記述がある。
弾性支承上の梁の理論というものもあり、マットスラブの計算に使われる。バネは難しいので、バネの考えを省き、簡単な計算方法はないものだろうか。
群杭で支持する場合、基礎盤をピンポイントで支持するのではなく、反力を平均化することができるが、杭の本数が少なくなるとピンポイントに近い状態になる。地盤改良の改良体の間隔は、どのくらいまで広げることができるか、基礎盤次第である。
難しいことを言わず、群杭もパイルド・ラフトも同じでよいのではないかと思う。頭部を基礎スラブに緊結しない杭基礎として扱えばよい。水平力に対しては、摩擦係数で抵抗する。
杭は支持層に達しておらず地盤と共に沈下するので、杭だけで頑張ってしまうことはない。
平均接地圧として60〜80kN/uくらいの建物で、支持層の深さが30m以上の地盤で採用したい。鋼管杭を使うと、杭長は杭径の130倍が限界なので、杭長で杭径が決定されてしまう。
posted by TASS設計室 at 02:08| 構造設計

捨てコン

「地業」とは、基礎を支えるために、それより下に砂・砂利・砕石、杭などを設けた部分をいい、基礎より下部の工事になるため、基礎工事に先立って行われる工事のことだ。 「地業工事」は、基礎を支える杭を施工する「杭地業」と、基礎下の地盤を締め固める「砂利・砂地業等」に大きく分けられる。

「捨てコンクリート地業」は、これらの地業と違って、基礎を支えたり、地盤を強化するために行うものではなく、砂利・砂地業等を行った後に、厚さ5〜10cm程度のコンクリートを平らに敷き均す作業を指すんだ。
「捨てコンクリート地業」は、次に挙げる事項が主な目的となる。
@コンクリート上に基礎の墨出しを行い、型枠等を正確に設置する
A鉄筋の組立を正確に行う
B基礎底面を平らにする
https://www.ksknet.co.jp/nikken/guidance/architect2q/road/hamazaki/archive/question/question210517.aspx#:~:text=%E3%80%8C%E5%9C%B0%E6%A5%AD%E3%80%8D%E3%81%A8%E3%81%AF%E3%80%81,%E7%AD%89%E3%80%8D%E3%81%AB%E5%A4%A7%E3%81%8D%E3%81%8F%E5%88%86%E3%81%91%E3%82%89%E3%82%8C%E3%82%8B%E3%80%82
(以上は専門学校の記事を拝借した)

捨コンで思い出したことがある。
ある大手ハウスメーカーの基礎が沈下した。
根切りしたところ、ある範囲に地盤の弱いところがあった。現場の作業員はそれを認識していたが、『監督に見つかると面倒だから、早く捨コンを打ってしまえ』ということで、捨コンを打ってしまった。
その後、基礎の沈下が確認され、建物を解体して建て直した。

同じ会社で、仮設計画の不備で、作業員の死亡事故が発生した。
既存不適格擁壁のため、間知積み擁壁に沿って深基礎を施工するために掘削していた。その擁壁が倒れ、作業員が下敷きになった。間知積み擁壁は、重力式擁壁、もたれ式擁壁ともいわれ、内側に倒すことで土圧とバランスをとっている。そのことが分かっていれば、仮設工事をケチることはしないだろう。

2つの例を書いたが、こんな現場があるので注意されたい。

posted by TASS設計室 at 00:20| 構造設計