2023年02月11日

2x4工法の保有水平耐力計算

ある程度の大きさになると4階建てが可能になるが、塔状比2.5が限界で、混構造にするかどうかの分岐点である。塔状比が2になると、短期荷重時の接地圧がけっこう大きくなる。
平面の短辺と長辺の比が1:1〜1:1.5の正方形に近い矩形で基準階の面積が50〜80uくらいあれば、4階建ての設計ができる。
それよりも規模が小さければ、混構造にするか鉄骨造にする。
全階をWRCにするより、WRC+木造3層のほうが木造専業の小規模な建設会社に適している。
使用する構造計算プログラムは
@2x4壁式3(東京デンコー)
A木三郎4(東京デンコー)
BBUS-6(構造システム)
2x4工法の保有水平耐力計算が出来れば、設計の範囲が広がる。
軸組工法の4階の計算に kizukuri を使う人が多いらしいが、せっかく設計の選択肢が広がったのに、壁倍率7倍を上限にしたり、ダブル壁にすることはないだろう。
120角の柱で4階建てが建つのだから、やってみるとよい。
posted by TASS設計室 at 20:18| 2x4工法

構造設計者が少ない理由

構造設計者が少ない理由は何だろう。
昔から構造離れはあり、ゼネコンでは構造設計課から現場に異動した人は多い。それはそれでゼネコンでは優秀な現場監督で、作業所長になった人も多い。現場では仮設から構造的センスが要求される。
建築士の試験で基礎的なことはクリアしているので、そこまでの基礎学力があれば専門書を理解することができると思うが、次第に構造から離れてしまう人がいる。

そもそも、構造設計には資格が必要なく、無資格や二級建築士がビルやマンションの構造設計を行っていた。代表となる意匠設計者のハンコで確認申請を出すことができた。
現実に仕事は出来るが無資格や二級建築士の構造設計者を知っており、手伝ってもらったことがある。僕より経験豊富で安心できた。

現在は木造の構造設計という分野が出てきたので、木造の意匠設計者が構造計算を行うようになった。RC造やS造の構造設計や構造計算を経験せず、いきなり木造の構造計算を始めている。
そこから少しずつ学び、RC造やS造の構造計算を行うようになった人もいるが、多くは木造の許容応力度計算で停滞している。だから木造4階が進まない。
RC造とS造をしっかり学んでおけば、その後は興味次第で好きなようにすればよいだけである。

理学部数学科、物理学科の卒業生を建築構造に引き込んだらよいと思う。
昔、現場で設備のサブコンの責任者に物理学科の出身者がいた。現場の副所長と僕も彼と同じ出身校なので、先輩と呼んでいた。構造計算プログラムの開発元には数学科出身がいる。
建築 = 造形、というのも良いが、建築 = 工学 でもある。
土木学科の出身の人は、構造力学をよく学んでいる人がいる。そのことを話したら「土木は、そのくらいしか勉強することがない」と彼は言った。

posted by TASS設計室 at 11:13| 日記

構造計算は何から手をつけるか

構造計算を行うとき、何から手をつけるだろう。
@荷重拾い
A二次部材の計算
B一貫計算
エスキースの段階で計算するので、僕は荷重拾いや二次部材は大雑把に想定し、いきなりBでアタリをつける。
意匠図が出来上がってきてから@とAをまとめ、Bに戻る。
自分で意匠設計も行う場合は、@はメモ程度にして、AとBは平行作業にする。意匠図が出来たら、構造設計は終わったようなものである。
構造図を自動作図する場合は、計算結果が直ぐに構造図になるので、計算→構造図→意匠図の順である。
計算作業はBUS-6とKT-SUBを立ち上げておき、行ったり来たりする。
複雑な形状の場合は、小梁の計算も一貫計算に入れてしまうことがある。両端をピン接合にして任意の軸に配置する。このようにすると、荷重拾いの煩わしさがない。
小梁に対する積載荷重は大梁とスラブの平均にすることもある。
posted by TASS設計室 at 09:52| 構造設計

2023年02月10日

電算とエクセルの両方で計算

答えがギリギリなので、電算とエクセルの両方で計算して比較する。
計算結果が微妙に異なるので、その違いの原因を追跡する。微妙なところは、こんな方法で納得するまで計算する。

posted by TASS設計室 at 13:05| 構造計算プログラム

ディテールは釘1本まで描く

詳細に検討する場合、ディテールは釘1本まで描く。
図面の描き方の基本だが、平面と断面を同じ紙面に描き、関連付ける。
S造なら溶接やボルト、RC造なら鉄筋を示す。このような図面は、必要なところだけ描くが、使いまわしができるので、最初は大変だが作成することを勧める。

posted by TASS設計室 at 09:39| 木造の構造計算

利用者が少ない構造計算プログラム

利用者が少ない構造計算プログラムは、内容が揉まれていない。多くのユーザーが不具合を指摘し、改善を求めることでレベルアップする。ユーザーが多いRC/SRC/Sの構造計算プログラムや耐震診断プログラムも、随時修正が加えられている。木造の保有水平耐力計算を含む構造計算プログラムは、ユーザーが少ない。木造専業の構造設計者に保有水平耐力計算を教えると構造計算プログラムが売れる。
木造専業の構造設計者も、構造設計一級建築士を取っている人がいるが、最低限、適判の判定員のレベルは必要と思う。

構造計算結果に不自然なところがあったら、その部分を抜き出してエクセルで計算する。プログラムの開発者と考え方のズレがあったり、想定している使い方と自分の使い方が異なることもある。結局、電卓で計算するが、電卓の代わりにエクセルのシートを作っておくと、その後も何かに利用することができる。

エクセルと言えば、メガソーラーのコンサルを行っていた頃、架台メーカーがエクセルで構造計算書を作成したものに修正を加えていた。何人もの手を経てレベルアップしていていたが、そこで得た知識が役に立つ。優秀なエクセルの使い手による計算書だった。
相当なボリュームのエクセルの計算書である。FAPやBUS、MIDASでも計算した。東西、南北に面が傾斜している場合は、図法幾何で検討資料を作成した。図法幾何は僕の得意分野だ。
posted by TASS設計室 at 09:33| 構造計算プログラム

2023年02月09日

床根太のたわみの制限 1/250 か 1/300 か

たわみの許容値はスパンの1/250かつ2cm以下と告示で決められている。
設計する際は,これを 1/300 にしたり、最小たわみを 1cm にしたり、建物のクライテリアを決める際に厳しくすることがある。スパンが大きいと、2cmというたわみでは、ふわふわする。
寸法調整係数(2x4工法の場合)、変形増大係数を考慮した上の たわみ なので、基準通りでよいと考えている。
posted by TASS設計室 at 11:55| 構造設計

混構造の階高

混構造の階高で、1階RC造の階高と2階の木造部分の階高に差が生ずる。土台の高さが余計である。
建物全体として、振動モデルを作るときのことを考えると、層重量が作用する高さは、質量が集中するスラブ上端とする。
したがって、1階の階高は1階のRCスラブ上端から2階のRCスラブ上端までの高さとする。
2階の床には土台が載り、その上に壁や柱が立つ。壁や柱を立てるために土台を並べるが、柱や壁の高さは土台上端からの高さとなる。
そこで、2階スラブ上端から土台上端までの高さの差を考えると、構造階高の取り方で悩むことだろう。
仮に2階RCスラブ上端から3階の合板上端までの高さを3.000、2階RCスラブ上端から土台上端までの高さを125とすると、通常なら階高は 3,000-125=2,875である、ところが125mmが行方不明になる。
2x4工法の場合で示すと、床組高さ250、階高 3,000 、壁高さ 3,000-250-125=2,625 とする。これで高さの差が解消される。
もう1つ、1階がWRCなら、こんなこともできる。
1階の階高を2階の合板上端までとし、梁の下がり距離を設定するという方法がある。
外周の梁成を450とすれば、梁の下がり距離を 125+450/2=350 とする。
スラブ上端から125mmの範囲はRCとして荷重を拾うことになり、RC壁と木造の壁の差の荷重を多く拾うことになるが、僅かな差のため影響なしと判断する。
こんなことを設計方針に記述したらどうだろう。
posted by TASS設計室 at 11:38| 構造設計

マカロー博士の言っていること

・・・<「中村クリニックの中村医師のブログ」から抜粋開始>・・・
マカロー博士の言っていることをざっとまとめると、「このワクチンは世界中のあちこちの工場で作られているけれども、急ごしらえだから、工場ごとによって品質に違いがあるし、ロットごとにワクチンの濃度が違う。接種者の多くに薬害が生じないのは、接種会場のワクチン保存状況が超テキトーで、温度管理とか全然ダメで、そのせいでmRNAが分解されてしまっていたからだ。あともうひとつは、製造上の問題。脂質ナノ粒子、PEG、mRNAは激しく混ぜちゃいけない。ゆっくり撹拌する必要がある。脂質ナノ粒子は、その名の通り脂質だから上に浮きやすい。この溶液が製造ラインで小バイアルに充填されていくときに、最初の数千本のバイアルは非常に薄い溶液になっている。mRNAや脂質ナノ粒子の濃度はあまり高くない。しかしこの同じロットの最後のほうのバイアルは、ものすごい濃い脂質ナノ粒子やmRNAが入っている。つまり、製造工程が非常に粗雑だった。なかには異物(ステンレス、アルミ、ガラス片など)が混入するバイアルさえあった。しかし、このおかげで、多くの人が命拾いすることになった。そもそも医薬品開発における優れた製造工程は、完成するのに通常何年もかかるものだ。つまり、製造ラインで毎回すべての製品が均一の成分、均一の濃度になるまでには、5年や10年という長い時間がかかるものだ。本来、純度99%以上の製品でなければならないところ、今回のワクチンは50%の純度しかない。しかし私はこのことを批判しているのではない。まさにこの粗雑さのおかげで、多くの人が救われたのだ」
なるほど、と思った。
 ・・・<抜粋終了>・・・
posted by TASS設計室 at 09:14| 日記

構造と法規

意匠設計者は見積りに敏感だが、構造には興味がない。法規は審査機関に行って聞いてくるものと思っている。
構造図は現場に渡すものであり、内容を理解している人は少ない。平面詳細図を作成することに多くの時間を使うが、断面が疎かになっている。
矩計図の描き方で、1枚の用紙に平面、断面、立面を示すと分かりやすい。階段詳細図も同様である。
posted by TASS設計室 at 08:25| 閑話休題

2023年02月08日

断面図が苦手

断面図が苦手な設計者がいるものだ。
頭の中が平面図になっているようだ。斜に構えてパースペクティブに見ると立体的に理解できる。
二次元ではなく三次元で考えるのである。頭の中で平面図と断面図をミックスする。
posted by TASS設計室 at 17:52| 建築士

コオロギとイナゴ

コオロギを漢字で書くと蛩(恐るべき虫)、イナゴは稲子である。
これで理解できるだろう。
両者は似て非なるものである。
posted by TASS設計室 at 16:58| 日記

現場の工程が逆転する

現場の工程が逆転することがある。
臨機応変に対応してもらうが、現場監督より職人の感覚のほうが優れていることがある。
原因は次の一手が見えていない、その先の職種のことを考えていないことにある。
図面に作業手順を書かなくてはならないのだろうか。
posted by TASS設計室 at 13:37| 日記

木造4階、5階は標準設計

木造4階、5階は標準設計を決めると計画しやすい。2階建てや3階建てを設計している意匠設計者に考え方を理解してもらわなくてはならない。
鉄骨造を立体解析するより自由度が少ないので、建物が小さすぎると難しい。
木造は安いと思われるようだが、5階建てになると鉄骨造と工事費は大きく変わらず、鉄骨造のほうが安心感がある。
そのあたりの規模の建物を受注する会社は、鉄骨造の施工に強くなることである。
posted by TASS設計室 at 09:28| 木造の構造計算

マスク着用「個人に委ねる」だとさ

マスク着用「個人に委ねる」ということになるようだが、横並びを好む日本人は、なかなか外せないだろう。僕はそんなもの3年前からやっていない。
5月8日からと言うことは、連休明けにPCR検査を行い、感染者が増加したと言うに違いない。それでワクチン接種に誘導する。
そもそもワクチンは任意接種である。にも拘わらず職域接種が行われ、拒否した人が退職に追い込まれた。
打ちたい人は打てばよいだけである。今までのインフルエンザのワクチンは、年間4,000万人が接種していた。ワクチンを打つことをやめたら、インフルエンザに罹らなくなったという人もいる。
インフルエンザのワクチンの有効性は「前橋レポート」を読めば理解できる。
posted by TASS設計室 at 08:42| 日記

2023年02月07日

リモートで耐震診断の書類チェック

遠隔地の耐震診断で、現地の設計者に動いてもらうが、構造計算書を見ても分からない建築士は少なくない。見慣れていないこともあり、数百ページの構造計算書を見ると怖じ気づくようだ。
移行期の建物は旧耐震の建物でも新耐震の基準で設計されているものもあるので、構造計算書をチェックする。
先ず、構造図の柱リストと配筋詳細図を見て Hoopのピッチが 100 になっているか確認すると、当たり前のことだが1972年のRC規準で設計されていることが分かる。次に構造計算書の地震時の層重量のところで、Ai分布の計算が行われているか見る。数ページの計算を見れば分かる。
スマホのビデオ通話で対応できる。スタンド式のスキャナで主要な図書をスキャンしてもらうと分かりやすい。KINKO'SでPDFにしてもらうよう頼むともある。
旧耐震の建物でも新耐震基準で構造計算が行われていれば、新耐震基準と同等とみなすことができる。
ルート判別もお忘れなく。
posted by TASS設計室 at 19:43| 耐震診断

構造計算ルート

RC造やS造は保有水平耐力計算が当たり前だが、木造も自由度の高い設計が要求される。
最初の段階は壁倍率の上限を7倍として許容応力度計算を行うが、それでは間に合わない場合は、壁の詳細計算を行う。
軸組工法ではスジカイのβ割増しが余計だが、鉄骨造の要領でβを考える。スジカイを一切使わず、面材のみの耐力壁にするほうがよい。
木造もルート2、ルート3で計算することになるが、出来る人はどのくらいいるだろうか。木造の構造計算の塾があるらしいが、勉強しているのだろう。
計画により、軸組工法と2x4工法を使い分けることがある。
多くは4号建築とルート1だから、余計なことに手を出さなくてもよい。


posted by TASS設計室 at 11:59| 構造設計

構造設計者が行う建築設計

中規模の建物では構造設計者が意匠を含む設計を行うことが増加傾向で、意匠設計者は内外装の設計を行うという状態になったものがある。
確認申請や開発などの協議も構造設計者が行うが、手続き上、構造に関する規定を理解することが必要なので、言葉を理解している構造設計者に有利である。
デザイナーは構想の段階の図面を作成し、構造設計と確認申請を依頼されたこともある。建築デザインというものは、そういうことなのだろう。
意匠設計者を見ていると、法規・構造・設備を熟知し、設計監理を含み設計全体をまとめることができる人は僅かである。無駄な打合せが少なく淡々と仕事が進み。もうすぐ竣工する建物もある。
posted by TASS設計室 at 11:36| 閑話休題

設計は俯瞰することにある

設計は俯瞰することにある。距離をおいて客観的に観ることである。
そのような設計者で思いあたる人が2人いる。2人ともゼネコン設計部の意匠設計者だが、サラッと渋い判断をする人である。
posted by TASS設計室 at 01:46| 閑話休題

2023年02月06日

増築と耐震改修

増築と耐震改修は似たようなものだが、大きな違いは ケミカルアンカー を使えるか使えないかの違いである。面積が増加しなければ単なるリフォームなので、確認申請は必要ない。
下手に増築すると、既存遡及に悩まされる。
posted by TASS設計室 at 16:45| 構造設計