2022年11月20日

鉄骨造の意匠設計

木造専業の意匠設計者に鉄骨造の確認申請2件を依頼したら、鉄骨造は分からないと言う。
RC造、WRC造は分かるが、鉄骨造は気が手という意匠設計者は少なくない。
1/100の図面なので、難しいことはないと思うが、図面は当方が用意することにして、審査機関に行ったり来たりすることだけを依頼した。審査機関とのやり取りは、意匠設計に関しても僕が対応する。
毎度のことで、他の設計者に対しても、矩計図はこちらで作成する。意匠設計って何ですかね。
きっと、キッチンやユニットバスの型番を決め、壁紙を決めることが仕事なのだろう。
posted by TASS設計室 at 21:24| 閑話休題

2022年11月19日

基礎梁の重要性

基礎梁の重要性を理解せず、工事費を低く抑えることしか考えていない人がいる。
基礎梁にヒンジができず、津着割裂破壊が起きないようにする。
この考え方は、ルート2でも同様だが、ルート2の場合は剪断力の割増し係数を2.0にする。
特に木造4階の設計では、基礎が2階建ての要領で設計されているものを見かける。アンカーボルトのコーン破壊は大丈夫ですか。
鉄骨造ではベースパックなどの納まりを詳細に検討するが、木造のアンカーボルトの場合も、同様の検討が必要である。基礎梁の幅150mmで、振分けを外に60mm、内に90mmとする人がいるが、納まるのですかね。
基礎梁って、何となく基礎があるというものではなく、重要なものなのです。特に木造専業の設計者が鉄骨造や木造4階建てを設計する場合、こんなことを気にして設計するとよいだろう。
基礎がしょぼすぎる設計を見かけるので、こんなことを書いた。
posted by TASS設計室 at 21:38| 構造設計

2022年11月17日

ローコスト鉄骨造

鉄骨径プレファブ住宅メーカー、鉄骨骨組を供給する会社がローコスト鉄骨造を研究している。その中でブレース構造を採用している会社は、ブレースのディテールに大きな特徴のあるメーカーがある。
ブレース構造でありながら、構造特性係数が0.3というものである。簡単に真似のできるものではないが、興味深い。
ブレース構造のβ割増し 1.5倍 というものがあり、木造軸組工法でもスジカイを使わず、構造用合板による耐力壁のみで設計することがある。
同じ構造用合板の耐力壁でも、スチールハウスは構造特性係数が0.5くらいだったと思う。スチールの薄板にタッピングビスで合板を貼るので、初期剛性は高いが地震時の繰り返しの力に弱いことは、何となく分かる。
木造であれ鉄骨造であれ、ブレース構造全般に言えることだが、強度を確保しつつ塑性変形能力の高い耐力壁ができたらよい。
鉄骨造で木造の耐力壁も考えられる。軽量鉄骨造・木造軸組工法・2x4工法を混ぜたようなものである。
間柱だって軸力を負担することができるので、木造軸組工法の間柱を2x4工法のように軸力も負担する壁にしてもよいのではないか。
いろいろ考えられる。
posted by TASS設計室 at 00:43| 構造設計

2022年11月16日

鉄骨のブレース構造はルート3を避ける

鉄骨のブレース構造はルート3を避けるほうがよい。
基礎が貧弱な建物も、基礎梁にヒンジができるので、ルート3はやめておく。
しかし、基礎梁にヒンジができるような建物は設計がよくない。基礎のコストを下げたいだけの姑息な手段であると僕は断言する。
posted by TASS設計室 at 19:51| 日記

2022年11月14日

ALCとQLデッキ

鉄骨造の耐火構造の建物は、
@壁はALC
A床はQLデッキ
B杭はe-Pile
C柱脚はベースパック
で出来る。
構造計算ルートはルート3に限る。
3階建てでも、好き好んでルート1で設計することはない。
posted by TASS設計室 at 21:03| 構造設計

4階建ての構造計画

4階建ての計画は下記の方法があるが、EとFは勧めない。
木造の4層を載せるならJが適しているが、コストがかかる。
鉄骨でX方向ラーメン、Y方向ブレース構造も悪くない。
方向別に構造計算ルートを変えることもある。
@RCラーメン
A耐震壁付きRCラーメン
BWRC
CSラーメン
DSブレース構造
E軽量鉄骨造(ブレース構造)
F鉄骨造(ラチス柱)
G木造軸組工法
H2x4工法
IWRC + 2x4工法
JRCラーメン + 2x4工法
posted by TASS設計室 at 17:05| 構造設計

確認申請の提出先は構造設計者と相談する

確認申請の提出先は構造設計者と相談していただくほうがよい。
ルート2の審査ができない審査機関があるので、審査機関に対して事前のヒアリングが必要である。
審査機関に聞くにしても、構造の審査手続きを理解しているひとでないと話しができない。
無理せず、構造設計者に相談することをお勧めする。
審査機関の料金表にルート2の審査費用が載っているから審査できると思うと大間違いで、同じルート2でも、構造計算プログラムによっては引き受けてもらえないことがある。
このような話しになると、意匠設計者では無理なので、躊躇せず構造設計者に調整を依頼することである。

posted by TASS設計室 at 08:19| 建築士

2022年11月12日

一部鉄骨造

部分的に異種構造を用いると、混構造になるだろうか。
RC造に鉄骨小梁、QLデッキを使うこともあるが、その場合も架構はRC造である。
ササラ桁だけ鉄骨にした建物の構造設計概要書に ■木造 ■鉄骨造 と書かれていた。
@木造建築の階段のササラ桁と踏板に鉄骨を使う
ARC造のメゾネットの上階の床を木造にする
BRC造、木造の外部階段を鉄骨造とする
地震時の水平力を負担する構造で判断するので、鉄骨を使っても、木造は木造である。
ところが、付属物をRC造にすると話しが違う。剛性が効いてくる。

posted by TASS設計室 at 10:53| 構造設計

壁倍率による計算は卒業しよう

木造(軸組工法、2x4工法)の構造計算で、壁倍率による計算は卒業しよう。
面材の剛性と耐力で計算することに慣れると、設計の応用範囲が広がる。
壁倍率による計算は、2階建て以下の壁量計算に使う程度に限る。しかし、木造専業の設計者は、2階建ての設計が圧倒的に多いので、それで十分である。
その延長線上で3階建て、4階建てを設計すると、ダブルの耐力壁を使うことになる。
ダブルにしなくても納まるものでも、ダブルにしているのである。
2x4工法ではミッドプライウォールを採用するが、軸組工法でも採用したらよいだろう。木造の設計者は、軸組工法と2x4工法の両方を学ぶことだ。
耐力壁の考え方は壁式鉄筋コンクリート造と類似点がある。
posted by TASS設計室 at 09:26| 木造の構造計算

2022年11月11日

同じ建物を4通りの計算

RC造の同じ建物を4通りの方法で計算してみる。
同じデータを利用できるので、容易に比較できる。
@許容応力度計算
A保有水平耐力計算
B耐震診断(2次診断)
C耐震診断(1次診断)
1次診断は壁量計算のようなものなので、構造計算といえるか疑問だが、ルート判別と相関がある。
posted by TASS設計室 at 20:59| 構造設計

構造審査対応の業務

自分で構造設計を行ったものではないが、設計者と審査機関の間に入って、質疑応答を補佐する仕事がある。
審査するつもりで、構造設計図書をチェックし、審査機関や適判から指摘が出てくるであろう項目を書きだしている。
階段で頭が当たるというのは、法適合として、どのように指摘するものか。
4階建てに慣れている設計者ではないので、自分なりに構造設計をやり直しておいたので、いつでも差替え可能である。同じ建物を複数の構造設計者が設計すると、考え方が異なり、プログラムも違うので興味深い。
設計方針の比較表を審査機関と関係者に配布することにする。

posted by TASS設計室 at 15:01| 構造設計

知らないことが多すぎる

知らないことはたくさんあるが、知らないことが多すぎると仕事にならない。
好奇心と聞きかじりが原点になり、そこから勉強が始まる。
その手前に必要なことは基礎学力だが、必要に応じて補えば良い。
posted by TASS設計室 at 11:05| 閑話休題

2022年11月10日

オーバーハングの計算が続く

3mの庇の検討を行ったら、今度は渡廊下の跳ね出し4mが出てきた。
非現実的なオーバーハングと思ったが、上から斜めに吊れば良いことを思いついた。
倉庫の庇は上から吊っているではないか。PC鋼棒の出番である。

posted by TASS設計室 at 10:41| 構造設計

2022年11月09日

基礎がしょぼすぎる

木造の構造計算書を拝見すると、全般的に基礎がしょぼすぎる。
そうかと思えば、D19の鉄筋を何本も入れているものもある。
梁成が300に満たないのにスターラップの間隔が200だったり、RC規準を理解していない。
いくら耐力壁を強くしても、基礎梁が貧弱では基礎梁にヒンジが出来て、耐力が頭打ちになる。
高さ30mの建物の基礎梁は梁成2.7m〜3mくらいで計算するのだから、高さ12mの木造は65cmということはないでしょう。
posted by TASS設計室 at 09:23| 木造の構造計算

2022年11月08日

木造4階について書くと、アクセスが増加する

木造4階について書くと、極端にアクセスが増加する。それだけ興味を持つ人がいることが分る。
木造には軸組工法と2x4工法があるが、両方を設計する人は少ない。多くは片方だけである。
混構造になるとアウトで、RC/WRC/Sだけ依頼されるが、始末に困って上部構造も追加で依頼される。
得意不得意はあるが、木造に限らず全ての構造形式の設計と耐震診断・補強設計を手掛けると相乗効果が出てくる。
木造軸組工法は、木造全体の90%、2x4工法は10%程度であるから、4階建ても軸組工法のほうが多いかと思えば、まわりを見渡すと2x4工法といい勝負である。
計画に合わせて、両方やればよいと思うが、なぜ偏るのだろう。
審査機関に様子を伺うと、木造4階の審査の経験のないところもあれば、たまにしか来ないと言うところもある。ルート2の審査ができないので、適判にまわしてもらいたいという審査機関もある。
軸組工法はプレカット業者が構造設計を行うところがあり、建設会社や意匠設計事務所はプレカット業者に依頼する。
使われている構造計算プログラムは、相変わらず竿竹の移動販売ではないが、20年前と変わらない。買ったことがないから分からないが、20年前のお値段ですと言うやつである。ユーザーのレベルに合わせて開発されたプログラムである。分かりやすくて使いやすいことは認める。
木造専業の構造設計者も、構造設計一級建築士を取っているが、こんな状態では、木造4階建ては増えそうもない。
S造は設計するが、あからさまにRC造は出来ないという構造設計一級建築士もいる。確かにRC造は難しいが、敬遠することはないだろう。
posted by TASS設計室 at 00:51| 木造の構造計算

2022年11月07日

ルート2の判定について

構造計算ルートがルート2の場合、ルート2の審査ができる確認審査機関なら、適判にまわさなくて済む。
ルート2の審査が出来ない、あるいは引き受けてもらえない場合は、適合性半手機関にまわすことになる。
その際は、別途、適合性判定機関に申請し、判定通知書を得て、それを確認審査機関に提出して確認が下りる。
しかし、適判にまわして審査を受ければ確認が下りるというものではない。法適合確認のため、法的に適合していなければ、どこで審査しても下りることはない。
他社設計の木造4階建ての構造計算書がまわってきたが、作成した設計者は、プレカット屋の構造設計一級建築士である。普段は3階建ての計算を行っているのだろう。
それなりに検討されてはいるが、3階建てに塔屋として4階を載せて4階建てである。恐れ入った。
ダメでもともと。いつでもチェンジできるよう4階建ての構造計算書を作成した。壁は倍率ではなく、剛性で計算した。4階建ては、本来この計算だろう。
そもそも、壁倍率という考え方が僕は嫌いだ。木造に限らず、壁は剛性があって耐力がある。塑性率も関係がある。


posted by TASS設計室 at 17:17| 構造設計

木造4階の構造計算

木造4階の構造計算ができる事務所は少ないらしい。
木造4階は、2x4工法よりも軸組工法のほうが多いことが分かった。確かに2x4工法は木造全体の10%程度である。その延長線上で4階建ても、2x4工法が少ないのだろう。
構造コストと設計の自由度を考えると、2x4工法がよいと思う。
posted by TASS設計室 at 16:18| 木造の構造計算

持ち込みの構造計算書の判定

持ち込まれた構造計算書をチェックしている。
KIZUKURIで無理やり4階建ての計算を行っているが、4階建ての計算ができる構造計算プログラムを購入したほうが良いのではないかと思う。
@壁倍率
A4階の偏心率
B剛性率
の計算で事前の準備や補足が必要になる。
7倍を上限として壁倍率で計算してもよいが、無駄ではないだろうか。
釘ピッチを@75あるいは@50にして、剛性で計算すれば壁耐力の上限が上がる。
重心と剛心が求められているので、偏心率を求めることができるが、計算書にか4階の偏心率が出てこない。
各階の層間変形は間接的に求められるので、剛性率の計算ができるが計算書に示されない。
基礎梁の計算も一貫していないので、分離して計算している。これは面倒なだけである。

KIZUKURI や kizukuri-2x4 は、使いやすいプログラムではあるが、3階建てまでにしておいたほうがよいのではないかな。手計算で補足することを考えたら、東京デンコーの「木三郎」「2x4壁式」を購入することを考えてはいかがか。
「木三郎」「2x4壁式」でも万能ではないが、現時点で使えるプログラムは、これしかない。エクセルで補足するにしても、スタート時点のポテンシャルが高いほうが作業性が良い。


posted by TASS設計室 at 15:19| 木造の構造計算

2022年11月06日

4階建てもKIZUKURIで計算している

プレカット屋が作成した4階建ての構造計算書が送られてきた。
KIZUKURIで計算していた。まだ、そんな会社があることが分かった。
4階建てになると、軸組工法に誘導する設計者がいることは聞いていたが、様子が分かった。
こんな状態では2x4工法の4階建てで、保有水平耐力計算は無理だろう。
僕が「木三郎」で壁の剛性に基づいた計算書を作成して送っていたが、見ていなかったらしい。
「木三郎」で計算した理由は、偏心率が0.15を超えた場合、ルート3になるので、どちらにも対応できるものとしていたが、壁の剛性をやりくりして偏心率を0.15以下にしてルート2でまとめていた。
基礎梁は分離してFAP-3で計算するというご丁寧なものだが、上部構造の応力計算で基礎梁も考慮すれば済むことではないか。そのほうがデータの再入力と言う煩雑な作業がなくなり、変更や修正の際にいちいち数値を入れ直さなくて済む。
鉄骨階段は頭が当たるので、最初に指摘していたが未対応だった。図面を描いていて分からないのかな。
基礎梁の主筋にD19を使っているが、端部はD16で、中央をD19として重ね接手で済ませることもある。梁幅300にも満たない梁でD19を使うのは納まりに工夫が要る。
木造4階建ての状況が良く分かった。
KIZUKURIが進化するか、構造設計者が進化するか、どちらだろう。構造計算プログラムは道具だから、ユーザーが進化しなくてはならないね。

posted by TASS設計室 at 20:59| 木造の構造計算