2022年05月30日

自治体とのやり取りの末に建設許可が下りなかった計画

ファラによる、住宅プロジェクト「129」の図面一式。自治体とのやり取りの末に建設許可が下りなかった計画で、世界のどこかでこの建築を実現したい人を求めて、建築と工事の資料を無償で公開

建築確認が下りなかった原因は何だろう。壁式鉄筋コンクリート造2階建てだが、吹抜が多い。
おそらく構造の問題と想像するが、鉄骨造で立体解析すれば出来そうな気がする。吹抜だらけだが、各節点が独立して動くものとし、独立水平変位を設定して立体解析する。
屋根や外装は軽量化する。風圧による変形が大きそうだが、層間変形角は1/120ラジアン以内に納める。X-Y座標を45°傾けて解析することも加える。
こんなのを見ると、やってみたくなる。
どうしても鉄筋コンクリート造にしたいなら、僕は壁式鉄筋コンクリート造に鉄骨を加えた構造にする。法規上の主要構造は壁式鉄筋コンクリート造で、部分的に鉄骨を用いる。

公開されている図面↓
129_exec.pdf
posted by TASS設計室 at 15:59| 閑話休題

2022年05月29日

2x4工法4階建ての構造設計

2x4工法4階建ての構造設計が低調のようなので、計画の初期段階から意匠設計を含みサポートする体制を整えた。相変わらず3階建ての延長線上で考えている人が多く、不慣れな意匠設計者がいる。外部鉄骨階段が付く建物にも慣れていない意匠設計者も見受けられる。

使用するプログラムは、東京デンコー「2X4壁式3」および「2X4壁式基礎」で、杭基礎にも対応する。
杭基礎の計算は、構造システム「BUS基礎」およびエクセルによる手計算を併用する。
「BUS基礎」はスクリューパイルのデータベースが完備しているので使いやすい。

2x4工法4階建ては、狭小地で計画されることが多く、スクリューパイルは190Φを杭径の上限とする。混構造の場合は、1階をWRC造とするが、ピロティとする場合は1階をRCラーメンとするが、その場合、1階は「BUS-6」で計算する。
posted by TASS設計室 at 19:56| 2x4工法

塔状比4を超える建物

塔状比4を超える建物の計算を行っていた。BUS-6とBUS基礎を使って杭も連動して計算する。標準せん断力係数を0.3として転倒の検討を行うので、杭の引抜力が勝負になる。
この塔状比は重心位置での塔状比で判断する。
単独のエレベーター架構の場合、塔状比が6を超える場合もあったが、建物の場合は現実的ではない。
posted by TASS設計室 at 10:14| 構造設計

【新型コロナ】

バカバカしいので、今まで新型コロナについて書かなかった。
僕は2年前の3月上旬から「新型コロナはただの風邪で、死に損ないが死んでいるだけ」と言っている。
「風邪は万病のもと」とは昔から言われており、風邪がきっかけで死ぬことは毎度のことだ。ただの風邪で、出来損ないのワクチンを打つことはない。
今度はサル痘らしいが、ワクチンを作るなら日本猿用にしてもらいたい。
そもそもワクチンは不要である。インフルエンザのワクチンに関して言えば、ワクチンを打たなければインフルエンザに感染することはない。僕のまわりには、インフルエンザのワクチンをやめたら、インフルエンザに罹らなくなったという人がいる。
インフルエンザのワクチンの有効性(役に立たないこと)に関しては「前橋レポート」という研究結果があり、それを覆す論文は出ていない。

posted by TASS設計室 at 09:33| 閑話休題

2022年05月28日

相乗効果

建築設計は様々な構造や用途の建物を経験すると相乗効果が出る。
木造住宅ばかり設計していたのでは、スキルが上がらない。木造の事務所や店舗の計画でも、階高2.7mの図面を描いてくる意匠設計者がいる。それは相談する構造設計者がよくない。軒高9mを超えてもよいではないか。
posted by TASS設計室 at 08:47| 閑話休題

2022年05月25日

リフォームの構造計画

リフォームの構造計画の相談を受けるが、勘違いしている意匠設計者が少なくない。
僕は勧めないが、1階の柱を抜いてリビングルームを広くしたいと言う計画が多い。
既存の梁の下に梁を加えれば梁成が大きくなると思っているようだ。梁成150の梁の下に梁成150の梁を追加したところで梁成300の梁にはならない。
この程度の理解で客と打合せを行っている意匠設計者がいることが分かった。このようなリフォームこそ、構造設計者が出て行く必要がある。スパンの大きな梁を金物で受けることはやめたほうがよい。半柱でも良いから既存の柱に沿わせ、支点の反力に耐える部材で受けることだ。木造の現場は、大工の棟梁と話しをするほうが間違いがない。

posted by TASS設計室 at 04:57| 木造住宅

2022年05月22日

2x4工法の保有耐力計算

2x4工法の保有耐力計算は、RC造やS造と異なり、かなり簡略化されている。
耐力壁を上下に連続させるので、タイロッドやホールダウン金物、端部タテ枠の軸耐力やめり込みなど、壁端部の接合部の耐力で決まる。崩壊形やヒンジなどを考えるところがない。
基礎梁を十分強固なものにすることで、壁脚部の終局曲げモーメントより基礎梁を強くするだけで良い。
タイロッドのアンカーは、コーン破壊の検討を行うが、基礎梁をダブル配筋にすれば十分な耐力が得られる。
4階建ての意匠図で、基礎梁の幅を150mmにしたものを見かけるが、かぶり厚とアンカーボルトの定着を考え、梁幅は250mmにすべきだ。基礎梁の幅をケチって、鉄筋の納まりを悪くすることはない。鉄筋の上下関係も考慮する。X方向の梁の下端筋のかぶり厚さを60mmにしたら、Y方向は80mmにする。そうしないと、同じ高さは鉄筋の交差部分でぶつかってしまう。上端筋についても同様だ。
2x4壁式は、方向別にかぶり厚さを設定することができるので、スパンの大きな針があるほうのかぶる厚さを小さいほうとする。
塔状比が4を超えたら割り切って鉄骨造にするほうが無難だ。短辺方向4mで限界高さが16mと思えばよいが、それもどうかと思う。僕は木造の塔状比は2.5までとしている。4階建ての短辺方向は 4.55mが下限値である。
4.55x2.5=11.375m 何とか4階建てになる。塔屋を付ける際は、試算の時にチェックする。
基礎の浮上りが出たら、杭の引抜耐力で抵抗する。引抜に対して比較的大きな抵抗力が得られるのは e-Pile なので、このような時は e-Pile を採用する。
2x4工法で無理して4階にするより、鉄骨造にするほうが安心である。
2x4工法4階建ての競争相手は鉄骨造である。鉄骨造の柱サイズは200角で可能で、175角でも可能だが、コストを考えると200角が有利である。


posted by TASS設計室 at 20:44| 2x4工法

2022年05月21日

2x4壁式 何とかならないか

2x4壁式で不満なところがある。
@斜め軸を設定し、建物形状を確定した後にスパンの追加やスパン分割を行うと、斜め軸が部分的にはじけてしまう
A梁配筋個別を設定し、スパン分割を行うと、スパン分割とは関係のない梁配筋の設定が飛んでしまう

BUS-6などのプログラムでは、そのような障害を経験したことがない。
2x4壁式は、中高層の2x4工法の計算ができる唯一のプログラムだが、使い込んでいるユーザーが少ないことが欠点だ。
首都圏に100人くらいのパワーユーザーがいれば、2x4工法4階建てが活発になる。
kizukuri-2x4を卒業できる人は何人出てくるだろうか。
posted by TASS設計室 at 12:34| 閑話休題

平均せん断力法

壁式鉄筋コンクリート造の応力計算で、平均せん断力法は古いという人がいる。
しかし、壁式構造の応力計算は、平均せん断力法が適しているのではないか。2x4工法、木造軸組工法でも同様である。
軽量鉄骨造の認定工法では1Pの耐力パネルを標準としているが、同じ断面の鉛直ブレースを配置する場合、1Pを2つ並べる場合と柱間隔が2Pの場合では負担する水平力が異なるが、単純に2倍にしている。
軸組工法のスジカイも同様の考え方である。これも平均せん断力法である。この程度の計算で十分と考えている。

東京デンコーの壁麻呂・壁式診断・2x4壁式3 の三つ子のプログラムは、使い勝手が類似している。混構造の計算は2x4壁式3で行うが、これは大変便利だ。1FをWRC造・2〜5Fを2x4工法という建物の計算も一発で可能だ。タイロッドの計算にも対応している。
僕は壁式鉄筋コンクリート造単独の場合、元祖「壁麻呂」は使わず、構造システムの「HOUSE-WL」を使う。
posted by TASS設計室 at 09:15| 構造設計

2022年05月20日

2x4工法4階建てを普及させたいなら

2x4工法の4階建てを普及させたいなら・・・・・・4階建てまでルート1を許容したらよいではないか。
壁式鉄筋コンクリート造4階建てはルート1で設計できる。同じ壁式構造なのだから、2x4工法4階建てもルート1でよいではないか。
耐力壁の長さや配置に制限を設けることで、怪しげな建物を排除することができる。
CLTだの、ミッドプライだのと言う前に、先ず普通に4階建てを建てることだ。
好き勝手に4階建てを設計すると問題が起きることを懸念しているのだろう。
posted by TASS設計室 at 23:19| 2x4工法

JFEのカクホット

JFEのカクホット
これは使えそうだ。
https://www.jfe-steel.co.jp/products/koukan/catalog/e1j-028.pdf
適合するベースパックがないが、そのうち、どこかのメーカーが出すかもしれない。たまには自分で柱脚の設計を行うのも良い。
強引に柱を200角で設計する場合など、BCR295は肉厚12mmまでしかないが、カクホットにすると肉厚を16mmや19mmにすることができる。それ以上の肉厚は不経済すぎる。最後の手段だ。
posted by TASS設計室 at 02:35| 鉄骨造

軒高9mにこだわるな

木造(混構造を含む)3階建て、軒高9mにこだわらないほうがよい。
ルート2で設計可能なので、偏心率を0.15以下に納めることを考えるだけで済む。ルート2の審査ができる審査機関は多数あるので、適判にまわすほどのことではない。
特に事務所や店舗の場合は、軒高9mにこだわり窮屈な建物にすることはない。
posted by TASS設計室 at 01:03| 木造の構造計算

2022年05月19日

2x4壁式3を使おう

2x4壁式3を使おう。
4階建ての計画が進まないのは、2x4工法の保有耐力計算ができないからだろう。適判の審査を受けることに慣れていないこともあるに違いないが、それは経験すればクリアする。
需要があれば、東京デンコーが講習会を開くことを考える。非木造の保有耐力計算に慣れている構造設計者なら、マニュアルを整備すれば勘所がつかめるに違いない。

平面的な斜め軸の計算を行う場合、主軸に対して45°未満の軸ぶれなら問題なく計算できるが、ちょうど45°、X方向にもY方向にも耐力壁を考慮したい場合、最初に設定した軸方向の耐力壁として計算されてしまうので、補足が必要になる。
RC造やS造の立体解析プログラムなら、X方向・Y方向の耐力壁として考慮できるが、東京デンコーの壁式構造のプログラムでは計算できないので、モデル化を工夫して計算する。
一発では計算できないので、X方向の計算とY方向の計算を分けて計算することも考えられる。ねじれ補正の補正が厄介で、エクセルで計算したほうが良いかもしれない。当たりをつけた上で、例えばねじれ補正の最小値を1.200として計算する手はある。

posted by TASS設計室 at 22:59| 2x4工法

いきなり施工図

構造図はコンクリート施工図にしてしまうほうが分かりやすい。
躯体開口という概念がなく、建具枠の納まりを理解せず、ただ窓やドアが付いているくらいにしか考えていない意匠設計者がいる。建具寸法のチェックも、構造設計者が行い、建具の寄り寸法決定も枠まわりのディテールを決めてから行う。フリーハンドでディテールを描かせると描けない意匠設計者も少なくない。
山留の位置や余掘りなど、施工に関することも記載する必要がある。
仮設工事から、コンクリートの打設が終わるまで、構造設計者が関与する必要がある。
posted by TASS設計室 at 13:21| 構造設計

2022年05月12日

2x4工法4階建て、5階建て

1階、1階・2階をWRC造とする場合など、WRC造と組合わせると全階数5階までとしなければならない。
これはWRC造単独でも、5階までに制限されているからである。下層階がRC造、S造なら全体の階数に制限はない。

上部4層を2x4工法とし、全階数を6階建てにする場合、1〜2階をRC造あるいはS造とすることになる。しかし混構造の下層をS造にすることは現実的ではない。
ここまでくると、全階をRC造あるいはS造とすることが現実的な選択である。
2x4壁式で計算可能な計画としては、地下が構造的にも地下階となることが条件で、地下1階WRC造・1階WRC造・2〜5階2x4工法が最大規模である。全階2x4工法なら、6階建ても7階建てでも計算することは可能だが設計としてうまくまとまるか疑問で、施工は難しい。
posted by TASS設計室 at 20:48| 2x4工法

2022年05月09日

平面的な異種構造

平面的な異種構造の解析を行える状態になっているにも関わらず、特に木造建築では消極的だ。
そんなものは技術基準解説書と構造計算指針に盛り込めば済むのではないか。
SRC造とS造を平面的に組み合わせることは昔から行われている。剛性が高いフレームが多くの水平力を負担するので、床面での水平力の伝達を考慮すれば問題なく設計できる。
S造でRC耐震壁という設計もある。鉄骨フレームに合板の面材耐力壁も可能だ。現在ならCLTだろうか。
接合部と境界条件に注意すれば設計は可能だ。これらが解決すれば木造建築の守備範囲が広まる。
posted by TASS設計室 at 23:32| 閑話休題

木造ラーメンは現実的か

木造ラーメンは現実的か
木造専業の設計者は、木造ラーメンや木造4階建てに興味があるようだが、計画そのものの妥当性を考え、鉄骨造を視野に入れて比較したらどうだろう。
鉄骨造というと、ルート1で計算することを考えるようだが、鉄骨造こそルート3、保有耐力計算とする。無理にルート1に押し込んで、不経済な設計をする必要はない。
posted by TASS設計室 at 20:38| 閑話休題